Snow Man 渡辺翔太が体現する“言葉にできない想い” 『先生さようなら』の演じ分けに期待
何年経っても、たとえ別の人と付き合っても忘れられない恋はあるだろうか。ある美術教師の現在と過去の恋を描いたドラマ『先生さようなら』が、日本テレビで1月22日よりスタートする。 【写真】『先生さようなら』メインビジュアル 主演を務めるSnow Manの渡辺翔太が演じるのは、高校の美術教師の田邑拓郎。先生らしくないノリの良さと明るさの愛されキャラで、生徒たちに「タムラっチ」と呼ばれ親しまれている。女子生徒の人気が高く、それを面白く思わない同僚教師もいるほどだ。ある時、田邑は初めて担任となったクラスのひとり・城嶋弥生(林芽亜里)を美術部へ誘う。 脚本を手がけるのは、『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)を担当した渡邉真子。Tシャツメーカーで働く33歳の会社員の向井(赤楚衛二)が会社の同僚や元カノを巻き込みながら、10年振りに恋愛を始めようとする物語だ。「恋愛迷子たちのラブストーリー」でありながら、恋愛と結婚だけではなく、仕事や人生について真摯に向き合い、考えに考え抜く「ヒューマンドラマ」だった。本作も美術教師×女子高生の「王道胸キュンドラマ」の側面がありながら、哀しさもともなう過去の恋愛、そしてそれを上手く乗り越えられないでいる田邑を中心とした「ヒューマンドラマ」の側面もあるだろう。人の心の機微を丁寧に描写することを得意とする渡邉がつむぎ出すストーリーに注目していきたい。 渡辺は本作が連続ドラマ単独初主演作となるが、“現在”の美術教師と“過去”の男子高校生という異なった2役に挑戦している。これはつまり、生徒に明るく優しく接してくれる大人の男性と年上女性に恋焦がれ、青年と少年の心の間で揺れ動く学生という姿を通して渡辺の魅力を2倍堪能できるということである。カッコいい教師姿や、やや幼さが感じられる制服姿のビジュアルはもちろんなのだが、渡辺がその2役をどう演じ分けていくのかも見どころである。 渡辺は言葉にできない想いを演技にのせることができる俳優であるように思う。『ウソ婚』(2023年/カンテレ・フジテレビ系)では、菊池風磨(Sexy Zone)演じる夏目匠の親友でフリーのガーデンデザイナーである進藤将暉を演じた。夏目は初恋の相手である千堂八重(長濱ねる)のことが忘れられなかったのだが、同じように進藤は長年、夏目に恋愛感情を抱き、離れられずにいたのだ。好きだという想いが溢れないように大切にしながら、適切な距離で親友という立場を守っているのに報われることはなく、逆に好きな人と結ばれる未来に尻込みしてしまう夏目を叱咤し、背中を押してやる進藤。彼の思いを知っていれば切なくなりすぎてしまうが、メインとしては夏目と進藤の友情を描きたいこのシーンを渡辺は、絶妙なバランスで演じ、ドラマの中でも屈指の名場面となった。 本作でフォーカスされる「教師と生徒の恋」は禁断であり、むやみやたらに周りに話すことはできない。なのに、若い恋心は暴走しがちだ。学生時代の田邑は今すぐにでも爆発してしまいそうなもやもやを抱えていたのだろう。さらに現代の田邑は、その恋は終わったようだが、未だに由美子(北香那)のことを忘れられないよう。その上で昔の自分に似た想いを抱える弥生がそばにいるのだ。言いたいことはたくさん出てくるだろうが立場上、簡単に「先生も昔、自分の先生に恋をしたことがあって……」とは言えないはずだ。そんな複雑な事情と想いが絡み合う田邑を、渡辺は繊細に演じつつ、愛すべきキャラクターにしてくれるのではないだろうか。
久保田ひかる