神話の森で自然とアートを感じながら最上の「ととのい」体験を〈前篇〉【佐賀県・武雄温泉】御船山楽園ホテル
客室も寝具も料理も。「ととのう」方法を指南
よくいわれるサウナの「ととのう」は、熱いサウナと冷たい水風呂に交互に浸かったあと、外気浴をすることで体がより温まり、脳内が恍惚感で満たされる状態のことをいう。 このホテルでは「サウナの手引書」まで作って、「ととのう」ためにはどんな入り方をしたらいいのかを指南している。 手引書によると「ととのう」方法はこうだ。 (1)6~12分、サウナ室で汗をかく (2)水風呂に入る (3)タオルで水分を拭き取って休憩(外気浴)をする この1セットを3~5回繰り返す。時間の目安は、サウナ6:水風呂1:休憩6 といった具合だ。サウナに入る前には水分補給をしたり、食後は2時間空ける。さらに、最後に温泉に入ると相乗効果が望める。 サウナ推しのホテルだから、サウナ室付きの客室も2部屋ある。ドラマ「サ道2021」の最終話でロケが行われた206号室の客室は、真っ白いソファが窓際でカーブを描き、大きな窓から緑いっぱいの景色も望める。大浴場のメディテーションサウナの雰囲気にも似ている。 このサウナ付き客室の中にはプライベートサウナ、水風呂、シャワーがあり、サウナではセルフロウリュも楽しめる。 私の泊まった客室はサウナ付き客室ではなく、「内庫所」の和の趣ある一室だったが、寝具にはイタリア製高反発寝具・マニフレックスのマットレスが採用され、無重力感というか、宙に浮いているみたいに体が楽で、ぐっすりと眠れた。サウナの効果か、良い寝具の作用か、その両方の相乗効果か。快適性を追求した、よく考えられたホテルという印象だ。 夕食は食事処で、A5等級の佐賀牛と武雄若楠ポークせいろ蒸し、新玉ねぎや里芋、アスパラの塩ゆで、有明・玄界灘から届くシマアジのお造りなど、山海の幸をふんだんに味わった。 「楽園なべ」はスッポンとカツオ出汁のスープに、自然薯をすりおろした団子、舞茸などのきのこ、クレソンがたっぷり入ったヘルシーな鍋。スッポンを使っているから濃厚で旨みが強い。 ご飯は自家製佐賀牛の山椒カレーだった。創作会席料理でカレーが出てくるというのはかなり自由な発想。追いスパイス付きで「発汗」にもこだわっている。 翌朝は窓の外の緑を眺めながら、気持ちが上がる朝食を。ハーフバイキングスタイルだから自由度が高く、自分で油揚げを焼いて味噌汁に入れたり、シェフに自家製ポークハムを切ってもらったり、食べたいものを選ぶことができる。ヘルシーな温泉豆腐の鍋も起きぬけの胃にやさしいメニューだ。 サウナでも食でもととのう、究極の癒やしがここにある。 御船山楽園ホテル 所在地 佐賀県武雄市武雄町大字武雄4100 電話番号 0954-23-3131 料金 老松の間1泊2食1人3万8,980円~、サウナ付き客室同4万80円~ サウナ 大人1人4,450~5,950円(日時により変動) 野添ちかこ(のぞえ・ちかこ) 温泉と宿のライター/旅行作家 「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう! 』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
野添ちかこ