「ジャッキー・チェン」が語る“70歳からの仕事観” 日本への思い、有名なエンドロールの「NG集」の誕生秘話も聞いた
■「自分には映画しかないと思う」 ――スタントマンに敬意を表した今回の映画は、その過去のNGシーンがなければ成り立たなかった映画だと思いますし、そのシーンがあったからこそ、ジャッキーさんがどれだけ命懸けでアクションに挑んできたのか、ということをあらためて感じられて感動的でした。 ありがとうございます。アメリカのスーパーヒーロー映画なんかはNGシーンは絶対にないですよね。いわゆるグリーンバックで人物を撮影して、あとはCGで合成するわけなんで。
もちろんわれわれの映画も、最近はコンピュータの力を借りるということもあるんですが、それでも基本的には全部、本物のアクションをやるわけです。そうした本物のアクションならば、絶対にNGのシーンも出てくる。そうすると自然に、見応えがある映画になるんです。 ――おっしゃるとおり、本作のテーマも“スタントマンの誇り”というものでした。劇中のセリフで「飛ぶのは簡単だが、やめるのは難しい」というものがあり、それはスタントマンの心得のようなところで使われた言葉だと思いますが、それはおそらくジャッキーさんの仕事観だったり人生観にもつながってくるのではないかと思うのですが。
今年はぼくが映画の世界に入ってちょうど63年目という年なんですけれども、映画以外で自分にできることはあるのだろうか? と考えると、きっと自分には映画しかないと思うんです。 ただし映画といってもいろんな仕事がありますよね。たとえば小道具、照明、撮影、メイク、脚本、アクション、監督と、どの部門の仕事でもできると思うんです。だからスクリーンの前に役者として出なくなったとしても、裏方の仕事はおおむね全部できると思います。
それと同時に、実は今、北京にある学校でたくさんの人材を育てているんです。おそらく将来的には、この中から何人かはスターとなっていくでしょう。あるいは才能あふれるアクション監督になる人もいるでしょう。そういう願いを込めて今、一生懸命指導しているところです。 ――先ほどのNGシーンなどを見ていると、スタントマンをはじめとしたスタッフの皆さんと和気あいあいと撮影している様子が見てとれます。 実は彼らは全員、ジャッキー・チェン・スタントチーム(以下JCST)に所属する僕の弟子なんですよ。今は10期目なので、全部でおそらく100人以上のメンバーがいるんです。