チーバくんの陰で細々と…先輩の「ちば犬」 知る県民少なく、コンセプトも似たゆるキャラは今 #ニュースその後
横から見ると千葉県の形をしたキャラといえば、千葉県民におなじみの県マスコット「チーバくん」。ところが、同じく千葉県の形が特徴なのに、「横から見られるのはちょっと…」と苦手意識を隠さない千葉のゆるキャラがいる。その名も「ちば犬」。前から見ると顔が千葉県の形という、見られる方向が違うだけでコンセプトがほぼ同じキャラは、実はチーバくんより5年も先輩。それなのに、高い知名度を誇るチーバくんと比べて、県民の間でもあまり知られていない。一体どんなキャラなのか。ブームが下火になったとされる「ゆるキャラ」を改めて考えるためにも、誕生から20年以上を経た「その後」に迫ってみた。(平口亜土)
環境保全のPR役として誕生
ちば犬は2002年、千葉県環境財団の基金「ちば環境再生基金」のマスコットとして産声を上げた。デザインは大手広告代理店の電通に依頼。いくつかサンプルが示された中から、ちば犬が採用されたという。07年1月に千葉国体のマスコットとして誕生したチーバくんより、5年も前のことだ。 同基金は個人や団体から集めた募金を原資とし、県内の自然環境の保全や再生に関する取り組みへの助成に活用。ちば犬は県内各地の環境関連イベントに参加し、募金箱を首から提げて協力を求めるなど、基金のPR役として20年以上にわたり奮闘してきた。
最も注目されるのは、見た目のインパクトだろう。千葉県の形をした顔は、カクカクとした地形の輪郭まで再現しており、丸みを帯びたチーバくんの姿よりリアルだ。着ぐるみはイラストと異なり、2本足で立つなどシュールさが増している。「イベントでは泣き出す子どももいた」と同財団担当者は明かす。 プロフィールを見てみよう。千葉県生まれで、性別は不明。好きな花は県の花の「菜の花」。得意なことは「県民のやさしい気持ちを応援すること」。一方、苦手なことは「顔を横に向けること」。
活動は特定シーズンに集中
これだけのインパクトなのに、なぜ知名度が低いのだろうか。 それはまず、ちば犬の誕生理由による。環境保全のための基金のPR役という立場から、環境に関するイベントへの参加が活動の中心。ところが、環境イベントは6月の「環境月間」と10月の「3R推進月間」に集中。年に2シーズンしか活躍の場がないことになる。 その上、イベントへの出演数自体も年々、減少しているという。10年以上前には年間20回超を数えたこともあったが、2019年度には4回しか出演機会がなかった。同財団によると、環境イベント自体が減少していることなどが背景にある。 さらに、新型コロナ禍でイベントの中止が相次ぎ、20年度から3年間は出演数がゼロ。本年度はようやく12月までに4回と回復の兆しが見えてきたが、それでも多いと言える数字ではない。 「活動期間が限られているので、発信するネタがそんなにない」(同財団)ということで、SNSもやっていない。それでは、毎週末のように県内各地のイベントに繰り出し、X(旧ツイッター)やインスタグラムで積極的に情報発信しているチーバくんと比べ、知名度が上がらないのは当然のことかもしれない。