ウクライナがドローンで弾薬2千トン破壊 相次ぐ大戦果、新兵器「パリャヌィツャ」が活躍か
ウクライナは、国境から500kmほど離れたロシア西部トベリ州トロペツ町の大規模な弾薬庫をドローン(無人機)で爆破してから3日後の21日未明ごろ、トロペツ近郊のオクチャブリスキー村の弾薬庫を再びドローンで攻撃した。同時に、前線から320kmほどのロシア南部クラスノダール地方チホレツク地区の弾薬庫もドローンで襲撃し、巨大な爆発を引き起こした。 確認はされていないものの、ウクライナがこれら3回の壊滅的な空襲に、ジェット推進式の「ミサイルドローン」とされる国産の最新長距離攻撃ドローン「パリャヌィツャ」を使ったらしいことが、次第に明らかになりつつある。 トロペツの弾薬庫には、小火器弾薬や迫撃砲弾、ロケット砲弾、長距離弾道ミサイルなどが大量に備蓄されていたと伝えられる。弾道ミサイルには国産のイスカンデルのほか、北朝鮮製のKN-23も含まれていた可能性がある。 ウクライナ軍参謀本部はチホレツクの弾薬庫について「占領者の3大弾薬保管基地のひとつであり、ロシア軍の兵站システムの要のひとつだ」と説明している。 参謀本部は、ドローンの攻撃を受けたとき、チホレツクの弾薬庫には北朝鮮製のものを含め2000tにのぼる弾薬があったと推定している。爆発で生じた巨大な火の玉はこの推定を裏づけているようだ。 トロペツに対する18日未明ごろの攻撃とチホレツクに対する今回の攻撃による爆発は、どちらも小規模な地震を観測するほど大規模なものだった。また、米航空宇宙局(NASA)の観測衛星システムでも熱異常が検知された。 これらの弾薬庫に対する連続攻撃は、ロシア国内の戦略目標をターゲットにするウクライナの長距離打撃作戦の転換点を告げるものだ。 ウクライナ政府は長い間、欧米製の長距離弾薬、具体的に言えば英仏製ストームシャドー/SCALP-EG巡航ミサイルと米国製ATACMS弾道ミサイルについて、弾薬庫を含むロシア深部への目標に対する使用の許可を供与国側に懇願してきた。 だが、欧米諸国はこれまで許可を保留してきた。ウクライナは明らかにしびれを切らしており、自国で開発したドローンやミサイル、航空爆弾の生産を強化している。自前の兵器であれば、事前に他国の許可を得ずにロシア国内の目標に対する攻撃に使うことができる。