《ブラジル》記者コラム 日本は原発より地熱発電の推進を ある意味、震災の弔い合戦では?
電力構成の93%が再生可能発電のブラジル
たとえばブラジルでは自然の恵みを最大限に活かした電力構成をしている。元々7割が水力発電だったが、最近は風力や太陽光が急増して今では93%が再生可能発電となったと報じられている(8)。日本も自らの自然環境を最大限に活かした形で発電できれば、原子力や火力発電に頼らないでもすむエネルギー自給体制が作れるのではないかと思う。 同報告は、《地熱資源量に恵まれているにもかかわらず、日本で地熱発電の導入が進まなかった背景として、地球温暖化対策の主要施策として、国が原子力発電を推進してきた点も挙げられる。ベースロード電源として位置付けられてきた原子力発電の推進を優先させた結果、競合する地熱発電の開発が停滞したとの指摘もある》と指摘する。 原発開発に利権を持つ一連の企業群にとっては、クリーンで経済的な地熱発電は邪魔なものかもしれない。だがその結果、福島原発の悲劇が起きた。あれで「スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ」と世界的に並び称される悲しい時代が始まった。そこから抜け出す解決策として、もっと地熱発電は注目されるべきだろう。 同報告はさらに《火山の多い日本は、自然災害と向き合うことは不可避であると同時に、火山の恩恵の一つとして地熱資源に恵まれている。電力の安定供給と地球温暖化対策に寄与する潜在力を持ち、原子力発電の代替電源ともなりうる地熱発電の持つ意義は大きい。地熱発電の活用についても、長期的観点から一貫した導入施策が求められよう》と締めくくっている。まさにその通りだ。 もしかして、地中深くのマグマ活動をより近くから定点観測することで、地震予知分野にも新展開が生まれる可能性もあるかもしれない。 日本の皆さん、自分の足元をいま一度見つめ、原子力を冷静に分析し直し、地震大国を「地熱大国」に変える方向に発想を転換するのはどうだろうか。(深) (1)https://www.jma-net.go.jp/sendai/knowledge/kyouiku/eqvol/a_jisin_ws.pdf (2)https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu04.html (3)https://sustainablejapan.jp/2016/08/06/geothermal-energy/14372 (4)https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/Hprj98/NL_gaiyo.html (5)https://www.tokyo-np.co.jp/article/236091 (6)https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html (7)https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8842539_po_0837.pdf?contentNo=1#:~:text=%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AB-,%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%81%AF%E3%80%81%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%82%84%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E3%81%AE,%E4%BD%8D%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%A9%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82 (8)https://www.brasilnippou.com/2024/240203-17brasil.html