《ブラジル》記者コラム 日本は原発より地熱発電の推進を ある意味、震災の弔い合戦では?
日本人にとり地熱発電はある意味、弔い合戦では
最近、能登半島地震や台湾地震はもちろん、環太平洋のあちこちで地震が起きているニュースに接して思うことがある。 コラム子が生まれた静岡県東部の人の多くは、お隣神奈川県の箱根大涌谷を家族や友人と訪れ、もくもくと上がる水蒸気や硫黄の臭いに圧倒されながら温泉卵を食べた経験がある。あのマグマのエネルギーを温泉や卵をゆでるのに使うだけでは、もったいない。どうして地熱発電に使わないのかと。 原子力に依存する限りウランはいつか枯渇するし、大地震が起きるたびに原発の近くの住民はヒヤヒヤだ。それに、影響が弱まるまでに約10万年もかかる放射性廃棄物をどこに処理するかに常に頭を痛める。 火力発電の場合は、燃料を常に輸入に依存するから、為替変動や戦争勃発などでコストが劇的に変化する危険性があり不安定だ。 そんな不安要素が多い発電方式より、マイナスの自然条件「地震」、それを起こすパワーを味方に変えるという逆転発想の方が日本人らしいと思う。それに、地震を起こすマグマを「味方に変える」のは、ある意味、日本人とっては〝弔い合戦〟ではないか。 この100年余りで起きた震度7クラス以上の「震災」と呼ばれるものだけで、関東大震災(死者・行方不明者は推定10万5千人)、阪神・淡路大震災(犠牲者6434人)、新潟県中越大震災(68人死亡)、東日本大震災(死者・行方不明者2万2318人)などがあり、計13万人以上が亡くなっている。そして、今後も南海トラフ巨大地震がおきる可能性が常にささやかれている。 天災は天災であり、どうしようもない部分がある。起きることは仕方ないとしても、尊い命の犠牲を無駄にしないためにも、地震の原因であるエネルギーを「使いこなす」発想や工夫があってもいい。そうすれば、マグマは天恵になりうる。もしも富士山の地下に眠るマグマを、人間が利用できるエネルギーに変えられれば、大自然から無限のパワーを戴くことになる。