『おむすび』米田家&四ツ木家集合の撮影秘話 “食”を通して変化した「お母さん」
NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。 【写真】伝説のギャル役で出演の渡辺直美 第70話では、結婚の許しを得るために結と翔也(佐野勇斗)が両親に決意を表明。翔也の母・幸子(酒井若菜)は「もう誰も反対してないよ」とその思いを受け止め、両家それぞれが「糸島のお雑煮」「栃木のお雑煮」を振る舞った。 この展開について、制作統括の宇佐川隆史は「お雑煮には地元の特色が出ますので、やはり“地域”を大切に、さらには“食”を描いてきた『おむすび』としては、その違いをしっかりと見せるべきではないかと。脚本の根本(ノンジ)さんが『お雑煮』をキーポイントとして、丁寧に描いてくれました」と話す。 同じく制作統括を務める真鍋斎は「(糸島のお雑煮に入っている)かつお菜というものを初めて知りましたけど、かつおのすごくいい香りがするんですよね」と、食材との新たな出会いを回顧。福岡出身の宇佐川は「福岡では当たり前で、『かつお菜を入れなければお雑煮じゃない』と言われるくらいなんですよ」と語り、「やはり、お雑煮には地域性が色濃く出ますよね」と実感を込めた。 第14週の演出を担当した原田氷詩は、同シーンの撮影について「第67話で結は幸子(酒井若菜)に「お母さん」と呼ぶことを拒まれましたが、幸子からお雑煮の作り方を教えてもらって、そこであらためて幸子のことを『お母さん』と呼び、幸子がそれを受け入れます。ここで2人の交流が生まれる、ということを大事にしたいと思いながら撮っていました。“食”で繋がっていくというのが、『おむすび』らしいなと思いますね」と振り返る。 「結と幸子がキッチンにいる間、周りのみなさんをどうしようかと。料理を作っている様子を見ているパターンも考えましたが、翔也が母の背中と結の笑顔を通して“2人の関係性が変わっていく姿を見ている”ということを大事にしました。お雑煮を食べる場面は編集で短くなっていますが、実際には長くカメラを回していて、みなさんがいろいろなお話をしながら、徐々に家族になっていくところをしっかりと撮らせていただきました」(原田) 家族団らんシーンで、特にインパクトがあったのは翔也の父・隆則を演じる山内圭哉。原田は「やんちゃな雰囲気を感じさせる一方で、喋っているときのお声はすごくかわいくて。翔也のお父さんにぴったりなんじゃないかなと思ってキャスティングさせていただきました」と起用理由を明かす。 結の父・聖人を演じる北村有起哉と山内は古くから付き合いがあり、原田は「お雑煮を食べるシーンのときにもお2人で空気感を作ってくださいました。山内さんはセリフがまったくない役どころなんですが、目で表現していただけたことで、すごくいい翔也のお父さんになったなと思います」と感謝した。 なお、食後には米田家に四ツ木一家が大集合。あらためて、翔也の出身地が栃木県である理由について、真鍋は「これは恣意的なのですが、北関東にしたかったんです。訛りを遊ぶわけではないですが、翔也をただのイケメンにはしたくなくて、少し素朴さみたいなものを付与したかった。“結は九州で翔也は北海道”ということも考えましたが、北海道の言葉は標準語に近いんですよね。函館のほうには東北に近い訛りもありますが、いろいろと議論をする中で、今回は栃木ということになりました」と説明した。 翔也からプレゼントされた結婚指輪を眺めた結は、「キラキラしとうよ、どの指輪よりも」と幸せいっぱい。個性豊かな家族に支えられ、次週から始まる2人の結婚生活が楽しみだ。
nakamura omame