「コンプレックスだった大きなお尻」を強みに昇華 下半身強化で生み出した数々の必殺技 【トニー・ストーム(後編)】
ストームゼロは名称を変えながらスターダムからWWE、AEWでトニーの代名詞的ムーブになっている。約5年3カ月ぶりの来日となった9・28後楽園では、タッグマッチで白川未奈(6月30日にトニーの王座に挑戦)と組み、岩谷と前哨戦。この試合では、岩谷のパートナーAZM(アズミ)をストームゼロで仕留めてみせた。以前と変わらない技ながらも、トニーの下半身はかつての来日時以上に大きくなっており、パワーアップは明らかだった。さらにハリウッド黄金時代のスター女優をイメージしたキャラクター、「タイムレス」で新しい姿を見せつけ、岩谷を困惑させた。タイトル戦では、岩谷がこの二面性でトニーの術中にハマる可能性があるのではないか。 6年半ぶりに肌を合わせた岩谷は、トニーの印象を「メチャクチャ力強い、パワーがすごい。そして、独特な間合いというか、こっちまで飲み込まれそうになっちゃいそうな雰囲気がありますね」と語る。
女子レスラーにしては珍しく、クラシックな英国スタイルを現地で学び、レジェンドレスラーのテクニック、インサイドワークに刺激を受けた。これを基盤として日本で下半身の強さに気づき必殺技を習得。ワールドクラスのレスラーへと成長を遂げた。その延長上に、現在の“タイムレス”トニー・ストームがいる。10・5名古屋でIWGPのベルトを腰に巻くのは、アイコンか、それともタイムレスか!?
取材・文/新井宏