8年ぶりにJ復帰した内田篤人は再デビュー戦で何を見せたのか?
2007シーズンから達成した、前人未到のリーグ戦3連覇を知っている内田は、小笠原が握っているバトンを受け継ぐ理想的な存在だった。海外移籍が実現したことで青写真は修正されたが、必ず呼び戻したいとタイミングをうかがっていたアントラーズと、体が動くうちに復帰したいと考えていた内田の思いがこの冬に一致したわけだ。 痛めていた右ひざにメスを入れた2015年6月以降は、シャルケで1試合、ウニオン・ベルリンでは2試合の出場にとどまった。一転して復帰した愛着深い古巣では、キャンプ中の対外試合を含めて、すでに6試合でプレーしている。 「小さな筋肉系のけがが、これから多少はあると思うよ。そういうのもケアをして適当にごまかしながら、上手くやっていくしかない」 右ひざの古傷自体はまったく問題ないとしながらも、実戦から遠ざかっていた反動が体に起こることを、内田は想定内としてとらえている。過密日程が考慮されるかたちで、敵地で21日に行われた水原三星ブルーウィングスとのACLグループステージ第2戦の遠征メンバーには入らなかった。 「上手く休ませてもらいながら、という感じですね。ここでピークをもっていったら、絶対に(シーズンの最後まで)もたないから。それは嫌じゃん。だから今日は、戦術的な狙いもあって途中で代わったけど、この前のACLでは90分間プレーしているし、徐々に、徐々にじゃないの」 後半は立て直してエスパルスを押し込んだものの、最後までゴールを奪えず、開幕戦は引き分けに終わった。前半終了間際に与えたPKを守護神クォン・スンテが止めなければ、黒星発進を喫していたかもしれない。だからこそ、手にした勝ち点1を内田はポジティブにとらえる。 「上手くいかないときはあるから。(次節まで)5日間あるしなおるよ。みんなわかっていると思うから」 次節の3月3日にはホームにガンバ大阪を迎える。小笠原は開幕戦も出番がなかった。まさかの無冠に終わった昨シーズンの捲土重来を期す常勝軍団で、内田の存在感がますます大きくなってくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)