セントウルSは馬場状態と展開がカギ 目が行くのは脚質転換に成功した牝馬から漂う勝負気配
さらに、テイエムスパーダ(牝5歳)も逃げてこそ、持ち味を発揮できるタイプ。そうしたメンバー構成から、ペースが速くなることが予想されます。 それでも、もし開催場替わりの開幕週であれば、速いペースでも前に行った馬がそのまま押しきる"行った行った"も期待できますが、何度も言うとおり今年は開催中の馬場。それを考慮すると、今年の場合は直線の坂を上がったあと、差し馬が台頭してくるシーンが十分に考えられます。 ――そうした展開となった場合、気になる存在はいますか。 大西 この夏、脚質転換に成功したモズメイメイ(牝4歳)に注目しています。 これまでは逃げて結果を出してきた馬ですが、2走前のGIII北九州記念(6月30日/小倉・芝1200m)では中団から差し脚を伸ばして3着と好走。前に行かない競馬で上位争いに加われたことは大きな収穫でした。 その成果が明確に表われたのが、次走のGIIIアイビスサマーダッシュ(7月28日/新潟・芝1000m)。タイム自体は平凡でしたが、中団から差しきり勝ちを収めた内容はとても中身が濃かったと思います。 この2戦の競馬を見る限り、その結果がフロックとは思えませんし、立て直しに成功したと考えてもいいのではないでしょうか。 さらに、モズメイメイに関しては、勝てば"サマースプリントシリーズ優勝"がかかっているため、この先のGIを見据えるというよりも、ここでの勝負度合いのほうが高い、と見ています。 陣営の勝負への意気込みや、差し馬に有利になりそうな馬場を考慮すれば、彼女の好走が"二度あることは三度ある"となる可能性も高いはず。よって、モズメイメイを今回の「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。
武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku