山善、互換バッテリーで動く家電 第1弾はコンパクトクーラーや扇風機
山善は、バッテリー家電シリーズ「ELEIN(エレイン)」を発表。6月上旬より順次発売する。第1弾は、1つのリチウムイオンバッテリーパックを共有できる「コンパクトクーラー YBC-C04」、「扇風機 YBF-A20」、「工場扇 YBF-B40」のほか、「ポータブル電源」3モデル、「ソーラーパネル」4モデルに加え、今夏発売予定の「保冷温庫」3モデルをラインナップする。価格はすべてオープンプライス。店頭予想価格は、バッテリーが11,000円前後、コンパクトクーラーが70,000円前後、ポータブル電源が65,000円前後~200,000円前後。 【画像】リチウムイオンバッテリー YBD-5A ■ 様々な家電をコードレスで使用可能にするリチウムイオンバッテリー ELEINシリーズで中心となるのが、「リチウムイオンバッテリー YBD-5A」。容量は90Wh。同バッテリーを、コンパクトクーラーや扇風機、工場扇、または今夏以降に発売されていく保冷温庫などの対応するELEINシリーズに装着し、様々な家電製品をコードレスで使えるようにする。 またUSB Type-Cの出力端子を備え、モバイルバッテリーとしても役立つ。目安としては、スマートフォンを約4回、充電できるとする。 本体サイズは120×77×73mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約670g。別売の「急速充電器 YBC-3A」により、約2時間でフル充電。 コードレスで使えることで、シリーズの家電製品を、室内だけでなくアウトドアや災害時にも役立てられるとしている。 ■ 第1弾はコンパクトクーラー、扇風機、保冷温庫 今回発表されたELEINの生活家電は、「コンパクトクーラー YBC-C04」、「扇風機 YBF-A20」、「工場扇 YBF-B40」、そして「保冷温庫」3モデル。 工事不要で冷風を送り出す「コンパクトクーラー YBC-C04」 工事不要でポータブルで使える「コンパクトクーラー YBC-C04」。ACアダプターまたは上述した「リチウムイオンバッテリー YBD-5A」で駆動可能。バッテリーは4個まで装着でき、1個の場合で約30分、4個の場合は約2時間の連続運転が行なえる(いずれも強運転時)。 周辺温度から最大-10℃の冷風を送り出せる。例えば気温30℃の環境では、最大20℃まで冷却可能。付属のダクトを排熱口に装着して使えば、室内や車内をしっかりと冷やせるという。 本体サイズは230×474×322mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約8.5kg。冷房能力は400W。消費電力は200W。冷媒はR134a。騒音値は約53dB(A)。 アウトドアでも利用できる「扇風機 YBF-A20」 「扇風機 YBF-A20」は、ACアダプターまたは別売の「リチウムイオンバッテリー YBD-5A」で駆動可能。バッテリー使用時は、約4.5~20時間の連続運転が行なえる。 風量を5段階で切り替えられるほか、自動首振り機能を搭載。30/60/90度で首振り角度を設定可能。 バッテリー装着時の本体サイズは、305×175×405mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約2.6kg。 USB Type-Cまたはバッテリーで使える「工場扇 YBF-B40」 「工場扇 YBF-B40」は、USB Type-C(30W以上)または「リチウムイオンバッテリー YBD-5A」の2Wayで駆動する。なおバッテリー装着時は、約6~44時間の連続使用が可能。 風量が無段階で調整可能。径40cmの5枚羽根でパワフルな風を広範囲に届けられるとする。風向きは上下90度で無段階調整でき、真上にも下側にも送風可能。そのため室内室外を問わずに使え、キャンプやイベント、工場などでの利用にも適しているという。 そのほか背面にはUSB Type-AとType-Cの出力ポートを搭載。スマートフォンなどの外部機器へ給電することも可能だ。 本体サイズは約540×185×475mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約3.5kg。消費電力は18W。 -18℃の冷凍保存から60℃の保温にまで対応する「ポータブル保冷温庫」 7月に発売予定のポータブル保冷温庫は、庫内温度を-18℃の冷凍から60℃の保温まで設定可能。9/25/35Lの3モデルをラインナップする。 電源は、バッテリーのほか、AC電源もしくはシガーソケットに対応。対応バッテリーを、9Lモデルは1個、25Lと35Lモデルは最大2個まで搭載でき、コードレスで利用できる。そのほかELEINシリーズのソーラーパネルを接続して使えるという。 25Lと35Lモデルは、ハンドルとキャスターを備えているため、重い荷物が入っている状態でもラクに持ち運べるとする。 ■ ポータブル電源やソーラーパネルもラインナップ ELEINシリーズからはバッテリー装着式の生活家電だけでなく、定格出力と容量が異なる、ポータブル電源3モデルもリリースされた。「YPB-RS600」は600W/409.6Wh、「YPB-RS1200」は1,200W/1,024Wh、「YPB-RS2400」は2,400W/1,792Wh。 いずれもリン酸鉄のリチウムイオン電池を採用。動作温度は-20~40℃。ACやDCの入出力端子のほか、USB Type-CとType-Aポートなどを備える。 ソーラーパネルは、スタンダードタイプとポータブルタイプの2種類を用意。 スタンダードタイプは、最大動作電力が60Wの「ソーラーパネル60 YSP-M60」と、同100Wの「ソーラーパネル100 YSP-M100」をラインナップ。 ポータブルタイプは、重さ300gで最大動作電力が7.5Wの「ソーラーパネル7.5 YRSB-M75」と、同400gで10Wの「ソーラーパネル10 YRSB-M100」が用意されている。 ■ マキタの世界観をベンチマーク 発表会では、ELEINシリーズの商品企画を担当した村上幸輔さんらが、シリーズのコンセプトを語った。そのコンセプトとは、自然エネルギーによりバッテリーを充電し、充電したバッテリーによって様々な家電製品を使うというもの。そのために現在、4個の「リチウムイオンバッテリー YBD-5A」を、ACまたはソーラーパネルで一度に充電できる「充電ステーション」を、今秋発売に向けて開発中だという。 また、取材陣から競合はどこかと問われた村上さんは、「競合ではなくベンチマークとしているのは、あえて名前を挙げさせていただくとすれば、マキタさん」と回答。マキタの場合は、独自規格のバッテリーを使い、多彩な工具などを利用可能だ。その世界観やシステムを、山善はマキタとは異なり、家電製品を主軸に置いて実現したいという。 ただし、その場合に気になったのが、採用されている同社のバッテリーが大きくて重いこと。上述の通り、ELEINシリーズの「リチウムイオンバッテリー YBD-5A」は、本体サイズが120×77×73mm(幅×奥行き×高さ)で、重さが約670gある。扇風機やコンパクトクーラーなどの、設置して使う製品に関しては、その重さを許容できるだろう。一方で、コードレスクリーナーなどの持ち続けて使う製品については、バッテリー重量がネックとなるはず。 同社は、今後ELEINシリーズのラインナップを、生活家電や調理家電、AV機器などでも拡充していきたいと語っていた。おそらく今後、軽量でコンパクトなバッテリーも用意されるのではないかと期待したい。
家電 Watch,河原塚 英信