EUがメタに警告、インスタの広告モデルでデジタル市場法違反の疑い
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)は1日、メタ・プラットフォームズのインスタグラムやフェイスブックでの広告モデルが、デジタル市場法(DMA)に抵触するとして警告した。利用者に対し、支払いか広告表示かの二者択一を迫る、いわゆる「ペイ・オア・コンセント」の手法に問題があるとした。メタは多額の制裁金を科される可能性がある。
EUで競争政策を担当する欧州委員会のベステアー上級副委員長は「われわれは、市民が自らのデータをコントロールし、パーソナライズの度合いを弱めた広告体験を選択できるようにしたい」と述べた。今回のEUの対応は暫定的なものだが、違反に対する最終的な制裁金は、全世界の年間売上高の10%、違反を繰り返した場合は20%に上る。
EUの規則では、大手デジタル企業はプラットフォーム・サービス間でユーザーの個人データを組み合わせる場合、ユーザーの同意を得なければならない。ユーザーが同意を拒んだ場合は、個人の属性や購買履歴などに基づいてサービスを最適化する手法である「パーソナライズ」の程度を抑えたバージョンを提供しなければならない。欧州委員会は、メタのような大企業が、ユーザーの同意をフェイスブックやインスタグラムの利用条件とすることはできないとしている。
メタは昨年11月、フェイスブックとインスタグラムでそれぞれ、広告表示なしの有料サービスを導入した。ユーザーの個人情報の取り扱いに対する規制圧力をかわす狙いがあった。メタは発表資料で、新しい広告モデルはDMAに準拠しており、「この調査を終結させるため、欧州委員会との建設的な対話」に期待するとコメントした。
1日のニューヨーク市場でメタの株価は一時約2.2%下落した。ラッセル3000種のコンピューター・サービス業種別部門の指数は上昇した。
今回の警告は、アップルに対するDMA違反の警告のわずか1週間後に発表された。欧州委はアップルに対し、アプリ開発業者が、アップルの「アップストア」以外での割安な商品やキャンペーンなどに利用者を誘導することを認めなければならないとしている。