新潟と長野結ぶ「塩の道」歴史を感じ歩く 思わぬ「花見」も
かつて日本海側と信州(長野県)を結ぶ塩の道と呼ばれた千国(ちくに)街道を歩く「塩の道まつり」が5月3日から5日まで沿道で開催され、県内外から多数が参加しました。今年で38回目になる伝統のイベントで、同県小谷村(おたりむら)、白馬村、大町市がそれぞれコースを案内しながら参加者をもてなしました。
3日間で小谷、白馬、大町を歩くコース
千国街道は新潟県糸魚川市と長野県松本市を結ぶ120キロメートル余の古くからの道で、現在は松本市と大町市間の国道147号と大町市から糸魚川市までの同148号。小谷村の宿場の地名から千国街道と呼ばれ、派手やかな参勤交代の交通路ではなかったものの、日本海側の塩や海産物、信州の産物などを運ぶ重要な街道とされてきました。 上杉謙信と武田信玄の「敵に塩を送る」伝説にちなんだ道としても知られていますが、言い伝えについては諸説あり、事実かどうかも判然としないとされています。物資輸送の重要路というもっぱら経済的な側面を持つ街道を彩る物語として伝えられてきました。
街道沿いの小谷村など3市村は、かねて千国街道の歴史的な価値に注目して地域おこしにつなげる取り組みを進め、塩の道まつりは重要イベントの一つ。例年、日本海に近い小谷村からスタートして2日目は白馬村、3日目は大町市でそれぞれ10キロメートル前後のコースを歩きます。 5日は大町市の仁科三湖(青木湖、中綱湖、木崎湖)を巡るコースなど2コースに1000人以上が参加。子どもから高齢者まで、予定通りの3時間ほどのペースで歩く健脚ぶりでした。
途中の休憩スポットでは地元の人たちが漬物やおはぎなどでもてなし、参加者は「おいしい」と大喜び。 同行した地元ボランティアらも、立ち寄った神社や自然環境などについて丁寧に説明し、県外から参加した女性グループなどが熱心に聴いていました。 途中、丈の高いオオヤマザクラがピンクの花を満開にさせ、参加者は「ここでまた花見ができるとは思わなかった」と笑顔。菜の花も黄色いじゅうたんのように広がり、山間地の遅い春を撮ろうと一斉にカメラを向けていました。 今回は小谷村で4000人近く、白馬村で2000人近い参加者があったと見られ、3日間で7000人前後の参加者が見込まれそうです。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説