水揚げ量が全盛期の3分の1に… 店頭はホタテ不足、漁業者も「高水温はどうにもできない」 青森県内
青森県漁連を通じた2024年産の県産ホタテガイの水揚げ量が、全盛期の3分の1以下まで落ち込む見通しとなった。県内の漁業関係者からは「高水温はどうにもできない」「廃業を考える漁師が出てくるかも」と不安の声が多く上がった。一方で「工夫をして乗り越えなければいけない」と前を向く漁業者もいた。 例年なら大ぶりな活貝が並ぶ平内町の直売所「ほたて広場」。今年は全般的なホタテ不足から、活貝を店頭に並べられない日もあった。22日は通常より小ぶりなホタテを低価格で販売していた。 佐々木一二館長は「シーズンを通して仕入れが難しい状況が続いているから活貝の値段(1キロ)を上げざるを得なかった。通常サイズの入荷がないから小ぶりなものを売るしかない」と嘆き、今後の入荷の見通しは「何とも言えない」という。 平内町漁協は水揚げ量の減少による赤字が確実となっているという。水揚げ量回復のため、稚貝を生む親貝を生産する漁業者に補助金を出すなどの取り組みを行っている。柴田操専務理事は「稚貝を増やしても高水温などでへい死するのであればどうしようもできない」と苦悩を語った。 同町のホタテ漁師八戸翼さん(50)によると、高水温などによる成育不良で、貝の大きさの等級が落ちたホタテも多かったという。八戸さんは「水揚げ量は昨年の半分ほどに落ち込み、収入も減った。ほかの漁師も大変な状況だ」と苦境を明かしつつ、「漁師同士で技術などを積極的に共有することが重要。みんなで知恵を出し合い乗り越えなければならない」と前を見据えた。 3代続く青森市のホタテ漁師鷲尾輝雄さん(51)は「息子はホタテ漁を継ぎたいと言ってるけれど、厳しい状況が続いているから継がせたいとは思えない」とこぼす。水揚げ量は平年の2割にとどまり、収入も大幅に減った。今年の稚貝も高水温の影響で壊滅的な被害を受けたといい、「来年以降の水揚げ量も減ってしまう」と不安を口にした。