フロアタイルと床タイル、実は似て非なるものだった!正しい選び方を徹底解説
「セラミックタイル」磁器質など人工の焼き物
セラミックタイルは人工の焼き物のこと。「磁器質」「せっ器質」「陶器質」と分類することができ、法的に焼成温度や吸水率の違いから分類されています。ただし、この分類はかなり専門的なことなので、実際に選ぶときは気に入ったデザインや質感なのかがもっとも大切。それが床に使用できるかどうかを各メーカーにその都度必ず確認する必要があります。
「セメントタイル」セメントと水で板状に形成したもの
一般的にグレーの分厚い板状のもの。主な原料は石灰石や粘土を焼成して粉末状にしたもの(セメント)と水です。 特徴的なのがセラミックタイルのように焼かないことで、水を加えることで硬化。型に入れてタイル状に形成します。 ちなみに「コンクリート」はセメントに砂と砂利を混ぜ、そこに水を加えたものです。鉄筋の周りを型枠で囲み、そこにコンクリートを流して固めると建物の構造体となる鉄筋コンクリートになります。「モルタル」はセメントに砂と水を混ぜたもの。同じような見た目で混同しがちなのでここで整理しておきます。 写真は中東で多く見られる、色鮮やかなデザインのモルタルタイルです。 現在は柄をタイルにプリントする技術も発展しましたが、やはり手づくりの風合いは再現できません。中東でつくられたものが多く、家で採用しつつ遠い国の職人技に思いを馳せるのもロマンチックです。
「サーモタイル」断熱性が高く足裏が冷えにくいタイル
日本の住宅設備・建材メーカーのLIXILが独自に開発したオリジナルの床タイル。浴室用の床材で表層や基材に熱伝導率の低い粒子や微細な気泡を多数分散させることで断熱性を高めています。床暖房がなくても足裏がヒヤッとしにくく、ヒートショックを防ぐ効果が期待できるのが最大のメリットです。
部屋を広く見せるには明るい色調のタイルを選ぶべし
フロアタイルと床タイルをどのように選んだらよいのか、基本的な基準を解説します。 【屋内用か屋外用か】 フロアタイル(塩ビタイル)は主に室内用として使われており、屋外での使用は推奨されていません。ただし、汚れと傷に強いので玄関など土足には適しています。 床タイル(セラミックタイル)は、屋内用と屋外用、内外両方に対応のものがあるので、各メーカーに使用する場所と共に相談してください。セラミックタイルは表面の特徴が想像以上にバリエーションがあり、屋内と屋外を厳密に分類しにくいものもあるからです。 【耐水性】 フロアタイル(塩ビタイル)は耐水性が高いです。ただし、長時間、放置するとタイルとタイルのわずかな隙間から水分がしみ込んで下地の床が腐食したり、ボンドが剥がれたりすることも…。水やワインがこぼれたらすぐに拭き取る、が鉄則です。 床タイル(セラミックタイル)も他の床材と比較しても耐水性が最も高いです。ただし、目地に汚れがしみ込むことがあるので、赤ワインや醤油など色の付いた液体はすぐに拭き取ってください。 【デザインや色】 家具のテイストや空間の広さや形によって、フロアタイル、床タイルのデザインや色の選び方は変わります。要するにケースバイケース。ここではいくつかの選定基準をピックアップします。 ・部屋が広く見えるのは明るい色調 ・インテリアを選ばないのは中間色で柄が控えめなもの ・エレガントなら光沢のあるもの、カジュアルならマットで素材感のあるもの ・家具がシンプルなデザインで色が単調なら柄物を使う冒険もあり 【目地の有無】 フロアタイル(塩ビタイル)の設置には目地(タイルとタイルの間に施される隙間や接着剤)が不要です。一方で、床タイル(セラミックタイル)は設置時に目地が必須となります。目地はタイル同士をしっかり固定し、床面の均一性と耐久性を高めるために重要です。 【床暖房対応】 フロアタイル(塩ビタイル)は熱による伸縮があるため、床暖房は基本的に不可。床タイル(セラミックタイル)は蓄熱性があるので床暖房に特に向いています。薄手のラグを敷くとさらに触感もソフトに。 【防音機能】 床の下地によって大きく変化しますが、フロアタイル(塩ビタイル)は防音機能は低く、床タイル(セラミック)の防音性は高いです。 いかがでしたでしょうか。フロアタイル/床タイルの選ぶ基準を機能とデザインの両面からお伝えしました。皆さんのライフスタイルと照らし合わせながらベストなチョイスをしてください。