「大家さんと一線を越えた」カラテカ・矢部太郎 初の漫画が15万部突破
お笑いコンビ・カラテカの矢部太郎が描いた漫画『大家さんと僕』(新潮社)が10月末の発売から約1カ月半で15万部を突破した。約8年前から一軒家の2階を間借りしている矢部と1階に住む大家さんのほっこり、そしてちょっと切ないエピソードを漫画化した同作。矢部と大家さんの不思議な関係に迫る。
出版のきっかけは漫画家・倉科遼のすすめ
「たまたま大家さんとお茶していたときに、『女帝』や『夜王』などの漫画家・倉科遼さんに会ったことがきっかけなんです。大家さんですと紹介したら、え?おばあちゃんじゃないの?と。東京で孤独な2人が補い合っているみたいだと興味を持っていただき、作品にしたら面白いと執筆をすすめられました。早速数ページ書くと、絵は下手だけど味がある。もっと書いてと。あれよあれよと新潮社さんが声をかけてくれました」 一つ屋根の下に住む2人。描かれたエピソード当時の年齢は矢部39歳、大家さん87歳。伊勢丹でのショッピングにNHK、フィギュアスケートの羽生結弦選手がお気に入りという大家さん。上品な言葉遣いでありながら、矢部に鋭くツッコむ場面もあり、笑いを誘う。 「以前住んでいた家の大家さんとは軽く揉めて追い出されています(笑)。変な霊媒師が来て大きな声出すとか、通販で変な薬買って家で飲むとか、毎週、僕んちがテレビ番組のロケスタジオになっていて大騒ぎ。スタッフもガンガン来るし(笑)。最終的には、いらないものを僕んちに集めてヤフオクで売るみたいな企画が始まっちゃって。倉庫扱いで寝る場所もなくなり、広い部屋で静かな場所がいいなと引っ越ししたのが、今の大家さんがいる一軒家の2階でした」
“一線を超えた”大家さんと僕
「ごきげんよう」と挨拶する大家さんとの初対面のエピソードから始まる。ゆるい味のある絵も大家さんの雰囲気が伝わってくる。初めはその距離感にとまどうこともあったという。 「帰宅して電気をつけた瞬間に電話で『おかえりなさい』、雨が降ってくると洗濯物取りこんだ方がいいわよと電話。外出しているときは洗濯物が取りこまれていることもありました。一人暮らしと思えない距離感で、最初は正直厳しいかなと。ちょっと今の家、失敗したかもしれないと芸人仲間に話していました」 そう思ったのも束の間。お茶や食事、旅行にまで行ってしまう仲に。 「初めて外食したときは、あ、一線越えたなと思いました(笑)。お茶や食事のほかには、僕の舞台も見に来てくれたり、シャンソン聞きに行かない?と誘われたりします。旅行は、死ぬまでに一度行きたいところがあるとリクエストされた鹿児島・知覧へ、大家さんの友人・えみちゃんも一緒に3人旅をしました」 芸人と認識されているようで、されてない? 「僕がプロレスラーに投げられて世界新記録が出るか試すバラエティー番組を見られていたようで、『昨日お飛びになってましたわね。矢部さん悪いことしてないのに、なんであんな仕打ちをされなきゃいけないの。元気出して』とお米をくれたこともあります」