ウケるかウケないか クズ芸人・岡野陽一は最も脳汁が出る「二択」に挑み続ける【今週グサッときた名言珍言】
【今週グサッときた名言珍言】 「肛門っぽいものを見せることが大事であって、本当に肛門を見せちゃダメなんです」 (岡野陽一/フジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」11月16日放送) 【写真】“借金まみれのクズ芸人”岡野陽一の理論武装したクズっぷり ◇ ◇ ◇ 「クズ芸人」として人気の岡野陽一(43)。彼は自らの仕事を「肛門みたいなものを見せる」、つまり「恥部を見せることによってお金をいただく」ことだと表現する。けれど、一方で「品位だけは守っている」と言う。そんな彼が新しく出てきた「クズ芸人」たちを前に、自身の仕事の哲学を語った言葉を今週は取り上げたい。 岡野は「26歳までずっとパチンコだけしかやってなかったんですけど、26歳で台移動しようと思って芸人になった」(テレビ東京系「あちこちオードリー」2022年12月14日)と語るほど生粋のギャンブラー。その経験やそれで生んだ借金を抱えた生活の中で、人間の酸いも甘いも噛み分けてきたからか、バラエティー番組などで行われる心理戦を伴うゲーム企画では、めっぽう強い。 例えば「水曜日のダウンタウン」(TBS系)の「電気イスゲーム」。一方が複数のイスの中からひとつに電流を仕掛け、もう一方がそのイスを回避して座ったら、イスの番号に応じて得点が与えられるというゲーム。シンプルながら奥深い心理戦が堪能できるこのゲームで、岡野はことごとく相手の行動を読み切り初代王者に輝いた。 解説役になってもそれは同じ。小籔千豊と対戦した田村淳が考えるのをやめ、靴が倒れた方のイスに仕掛けると「人間こうなったらダメ」と断言。その言葉通り淳は惨敗し、霜降り明星のせいやから「人間の専門家」と評された(「水曜日のダウンタウン」24年11月6日)。 第2回大会の1回戦では劇団ひとりと対戦。理論度外視のトリッキーな言動をする「奇人」に対しても、その「奇人」を凌駕するギャンブル勘で圧倒。芸人的にカッコいい選択を迫るひとりに「俺、カッコいいとかどうでもいい」(「水曜日のダウンタウン」24年11月20日)と勝利を優先した。 岡野は人間のダメな部分や心の弱さを熟知している。ギャンブルで最も興奮する瞬間を「一番脳汁が出る瞬間は勝ったときではなくて、激熱リーチになったとき。当たるのか当たらないかっていうときが一番楽しい」(「あちこちオードリー」=前出)と表現する。「汁が出ないなら生きてなくてもいい」と。だからこそ彼はギャンブル性の高い芸人という職業を選んだに違いない。 岡野陽一は「2択っていうのが一番汁が出る」(「水曜日のダウンタウン」24年5月22日)と、ウケるかウケないかが分からない“2択”に恥部をさらしながら挑み続けている。 (てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)