FA移籍したほうが輝けそうな選手たち 佐野恵太、大城卓三、石川柊太の決断は?
スポーツ紙デスクは「佐野が出場機会を望むなら、移籍という選択肢が考えられます。20年以降コンスタントに結果を残し続けていますから、他球団の評価は高い。特に地元の広島は獲得を検討する可能性があります。今季の広島は貧打に苦しみ、シーズン終盤に大失速した。一塁、左翼のレギュラーを固定できなかったし、優先順位の高い補強ポイントです」と分析する。 佐野はナインの人望が厚い。「横浜愛」の強い選手だけに残留も十分に考えられるが、どのような決断を下すか。 ■監督が代わって先発マスクが激減した大城 「強打の捕手」として、他球団から評価が高いのが巨人の大城卓三だ。原辰徳前監督の下でレギュラーを勝ち取り、昨年は打率.281、16本塁打、55打点をマーク。長打力だけでなく小技を器用にこなす能力が高く、21犠打はリーグトップだった。守備でも21年にリーグトップの盗塁阻止率.447をマークするなど安定したスローイングに定評がある。昨年のWBCでも侍ジャパンの世界一に貢献した。 だが、阿部慎之助監督が就任した今年は先発マスクをかぶる機会が34試合と激減。岸田行倫、小林誠司を下回り、本職ではない一塁を守る機会が多かった。不慣れなポジションを必死にこなしたが、なかなかリズムをつかめなかった影響もあっただろう。持ち味の打撃で、打率.254、3本塁打、27打点と納得のいく数字を残せなかった。 巨人は今オフにソフトバンクの正捕手・甲斐拓也のFA補強に動く可能性がある。甲斐が加入するとなれば、同じポジションを守る大城の立場はさらに厳しくなる。捕手として評価される他球団にFA移籍するのは現実的な選択肢として考えられる。
■育成から最多勝投手になった石川 今オフに「FAで一番人気になるのでは」と球界内でささやかれているのが、ソフトバンクの石川柊太だ。育成枠で入団し、ソフトバンクの先発の柱に成長した。縦に大きく曲がるパワーカーブを武器にテンポよく投げ込み、20年には最多勝、最高勝率をマーク。21年以降は2ケタ勝利から遠ざかったが、今年は復調の兆しを見せた。先発や救援などチーム事情に合わせて色々な役割をこなしつつ、シーズン終盤の9月には先発として月間4勝をマークして4年ぶりのリーグ優勝に貢献。15試合登板で7勝2敗、防御率2.56をマークした。推定年俸1億2000万円で人的補償を必要としないCランクの可能性が高いことも、他球団から人気の理由の1つだろう。 「先発陣のコマ不足に悩む球団は多い。FA権を行使したら、ヤクルト、DeNA、ロッテは獲得を検討するのでは。巨人も今季最多勝を獲得した菅野智之が海外FA権を行使し、メジャー挑戦の意思を表明している。菅野が抜けた穴をカバーするため、先発陣の補強に動く可能性があります。石川は東京出身なので在京球団が有利という声が上がっています」(スポーツ紙遊軍記者) FA移籍は獲得に動く球団にとっても大きな決断になる。昨オフに日本ハムに移籍した山崎福也が2年連続2ケタ勝利をマークし、ソフトバンクで再起を誓った山川穂高が本塁打、打点の2冠王を獲得して4年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。一方で高額で獲得したFA選手が思うような活躍をしないと、生え抜き選手との軋轢も生まれかねない。 佐野、大城、石川が今オフのFA市場で、他球団から熱視線を送られる「人気銘柄」であることは間違いない。どのような決断をするだろうか。 (今川秀悟)
今川秀悟