学生たちが火星探査機を開発 日本チーム初の世界大会へ「やっと認められた」 アメリカで直面した現実と新たな目標
4つのミッションで試されるローバー
URCは日本時間の5月30日から6月2日に行われた。4つのミッションが課され、合計点で順位が決まる。内容は以下の通りだ。 ■Autonomous Navigation(自動運転) 中継地点やゴール地点に設置されたGPS座標などを頼りに完全自動運転でゴールを目指す。 ■Science Mission(科学ミッション) 土や岩石試料を回収し、生命分析装置でサンプル内に各チームの定義に基づいた「生命」が存在するかを分析、プレゼンする。 ■Extreme Delivery(極地配達) 指定された地点を巡り、5kg以内の岩石や工具をアームで回収する。 ■Equipment Servicing(装置整備) 宇宙飛行士の補助を想定し、模擬宇宙船をローバーでメンテナンスする。
評価された“諦めない姿勢”
メンバー40人のうち23人が渡米して大会に挑んだ。しかし、世界の舞台は甘くなかった。炎天下と砂嵐により、ローバーに電気的なトラブルが発生。予期せぬ動作を繰り返し、タイヤ周りの部品が何度も破損した。 回収した試料の分析を行うこのミッション。途中でタイヤが破損し、得られたデータは少なかった。しかし、限られた写真と事前調査で得た知見から会場の地質学的解釈を説明するなど、最大限の努力を尽くした。さらには、メンバー全員でプレゼンを見守るという団結力も見せた。他のチームにはない姿勢が評価され、受賞に結び付いたという。
次の目標は世界一 挑戦は続く
大会後、阿依さんは来年の目標を次のように語ってくれた。「もう一度世界大会に出場する。そして今度は、少なくとも優勝を目指す」 決して冗談ではない。1年前はローバーを走行させるのもやっとで、搭載したアームでものを持ち上げられるとは思えなかった。それでもこの1年で開発を重ね、初のURC出場にこぎ着けたのだ。壮大な挑戦を続ける学生たちはさらに大きな目標を掲げ、歩みを進めていく。 (大会画像はARES Project提供)
仙台放送