住民投票を求める会解散 自治基本条例の改正批判も
陸上自衛隊石垣駐屯地配備計画の是非を問う住民投票実施を目指して活動してきた「石垣市住民投票を求める会」が27日夜、解散集会を健康福祉センターで開いた。約50人が参加。これまで行ってきた活動の振り返りや弁護団、憲法学者による解説が行われた。弁護士らは石垣市議会の与党が自治基本条例の廃止を目指したことを問題視。「選挙で民意を示すべき」と主張した。 同会は2018年10月に発足。住民投票の実施に向け、当時の自治基本条例に基づき有権者の4分1を超える1万4263筆(3分の1、約4割)の署名を集めた。 しかし、19年2月1日の市議会臨時会で、賛成10、反対10の議長採決となり、当時の平良秀之議長が「審議不十分」として否決を決定した。 同会側は条例の規定により、市長判断による実施も求めたが実現せず、法廷闘争を選択。同年9月に国内初となる住民投票義務付け訴訟、21年4月には当事者(地位確認)訴訟を提起したが、いずれも却下または控訴棄却となった。 一方、市議会では、19年12月に自治基本条例の廃止案が上程された。賛成10、反対11で条例は存続したが、21年6月には多数決で改正され、住民投票について規定した第28条は削除された。 同会は今年、地位確認訴訟で最高裁に上告したが棄却され、法廷闘争の終了によって活動を終えることになった。 解散宣言を行った代表の金城龍太郎氏は6年間の活動を振り返り、自衛隊の配備を巡り、住民の間に溝ができたと指摘。「子どもたちには憎悪を引き継がせない。真実を伝えて、判断してもらう。彼ら彼女たちを信じる。かっこいい島人になるよう頑張る」と力を込めた。 名古屋学院大学の飯島滋明教授(憲法、行政法)は自治基本条例の廃止に動いた市議会を批判。「主権者をなめている。選挙で意思表示が必要」と訴えた。 承認された決算報告は、収入総額が928万8395円で、支出総額は831万1611円。弁護士費用などに514万4364円、旅費に156万9620円、活動費に36万1912円などを支出した。残高は約100万円。 同会はこれまでの活動記録を残すため、書籍の発行などを検討しており、今後集める支援金から約150万円を活用する予定。