新元号「令和」出典は万葉集 首相「幅広い階層の歌集で豊かな国民文化を象徴」
新しい元号は「令和(れいわ)」――。政府は1日、平成に代わる新元号を発表した。「万葉集」から引用されたもので、史上初めて日本の古典に典拠を持つ元号となる。天皇陛下退位に伴う改元は明治以降の憲政史上初で、皇太子さまが即位される5月1日から新元号に改められる。 【中継録画】新元号は「令和」に 安倍首相が会見し談話発表
漢籍ではなく初めて日本古典から引用
当初の予定から10分ほど遅れた午前11時40分ごろ、菅義偉官房長官が首相官邸で会見し、新しい元号を令和と発表した。 出典は現存する日本最古の歌集である万葉集で、巻五の梅の花の歌三十二首の序文の「初春の『令』月にして、気淑(きよ)く風『和』らぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫らす」の部分。 これまでの元号は、中国の古典「四書五経」などの漢籍を出典にしてきたが、新しい元号では、初めて日本の古典から引用されることになった。 菅官房長官による発表の後、安倍晋三首相が会見し、「この令和には人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と新元号の趣旨を説明した。 万葉集を典拠としたことについては「1200年余り前に編さんされた日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人(さきもり)や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、わが国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書である」と述べた。 そして「悠久の歴史と香り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人ひとりの日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたいとの願いを込めた」と新しい時代と元号への期待を語った。
新元号の令和は、最初の元号とされる「大化」から数えて248番目。元号を改める政令は天皇陛下の署名を経て同日中に公布される。皇太子さまが新天皇に即位される5月1日の午前0時に元号が替わる。 この日は午前9時半に各界有識者による「懇談会」を開き、複数の元号案について意見を聴取。衆参両院の正副議長にも意見を聴き、その後、全閣僚会議、臨時閣議を経て新元号を決定した。