岡田将生×中井貴一、名優タッグの掛け合いがクセになる!中園ミホ脚本で医療現場のリアルを描く「ザ・トラベルナース(2022)」
岡田将生と中井貴一という名優2人がタッグを組んだ医療ドラマが、「ザ・トラベルナース(2022)」だ。 【写真を見る】看護師役で痛快な掛け合いを見せた岡田将生と中井貴一 大ヒットシリーズ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の中園ミホが脚本を手掛けた本作で、岡田と中井が演じるのは、医師ではなく看護師。しかも普通のナースではなく、「トラベルナース」という優れた資格を持ち、スーツケース1つでさまざまな街を渡り歩き看護に従事する。この"フリーランス看護師"という設定は、「ドクターX」に通じるところがある。日本では耳馴染みのないトラベルナースだが、アメリカでは全看護師の10%を占める40万人が該当するという。 主演を務める岡田は、2024年に注目を集めた俳優の1人。NHK連続テレビ小説「虎に翼」でヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の再婚相手・星航一の青年期から老年期までを好演。爽やかで清潔感があり、誠実で優しいという岡田のイメージにぴったりのこの役が話題となっているタイミングで、2024年10月期に「ザ・トラベルナース」シーズン2がスタート。 そんな岡田が本作で演じるのは、手術時に医師を補助しながら一定の医療行為を行える「NP(=ナース・プラクティショナー)」の資格を持つアメリカ仕込みのトラベルナース・那須田歩。優秀だが意識もプライドも高く、自分の正義を人に押しつけるところがあるトラブルメーカーでもある。 作品に深みを加える「名優」として歴史ものから社会派作品、さらにはコメディまで幅広い演技で定評のあるベテラン俳優・中井が演じるのは、九鬼静。柔らかすぎるほどの物腰なのに、ここぞという場面では痛烈な一言で一刀両断する伝説のスーパーナース。ナイチンゲールを尊敬し、看護師は「人を見て人を治す」との持論を持っている。素性は謎に包まれており、大きな秘密を抱えているという嘘つきな一面もある人物だ。 年齢や価値観の違う2人が衝突しながらも徐々に信頼関係を築き、患者のために力を尽くして、"命の現場"に改革のメスを入れていく新時代のナイチンゲール・バディ物語。岡田の若さと中井のベテラン感が見事に融合し、対立しつつも補い合う姿が自然だ。そして、意外な茶目っ気を発揮する静とツンデレな歩の掛け合いは、ドラマ最大の魅力となっている。医療の現場での葛藤や患者との関わりをリアルに描きながらも、ユーモアや感動を織り交ぜることで、シリアスな題材を重くなりすぎず楽しめる痛快な作品に仕上がっている。 2022年に放送された「ザ・トラベルナース」シーズン1は、そんな2人の"出会いの物語"。 歩は"ある人物"からの要請で「天乃総合メディカルセンター」で働くために日本へ帰国。そこで謎のスーパーナース・静と出会い、ことあるごとに"馬鹿ナース"と叱責されながらも、お互いを認め合っていく。そんな2人が、院内で「女だから」と見下されている志が高い外科医・郡司真都(菜々緒)と共に、経営第一主義でVIP患者を優先する天乃院長(松平健)や、「ゴッドハンド」と呼ばれるスター外科部長・神崎(柳葉敏郎)、政財界の大物のオペを多数成功させてきたスーパードクター・神野(六角精児)らクセ強な医師たちと患者のために衝突する。 主演の2人を筆頭に、キャスト陣も豪華な本作。上記の医師たちのほかに、シーズン2にも引き続き登場する看護部長の寺島しのぶ、看護師の安達祐実、野呂佳代など個性溢れるメンバーたちに囲まれている。 果たして歩と静の因縁とは何なのか、歩を日本に呼び寄せたのは誰なのか。そして、金満パワハラ体質の天乃総合メディカルセンターは改革できるのか――。感動と笑いが絶妙に交差し、医療や看護の大切さを考えさせられる本作で、親子のような、子弟のような岡田&中井の名バディぶりを見守ってほしい。 文=坂本ゆかり
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