米大統領選大接戦の共和党陣営、SNSで人気のリス殺処分を政府批判に利用?
10月30日に米ニューヨーク州当局よって飼い主から取り上げられ、殺処分されたSNSで人気を誇った元野生だったペットのリス「ピーナツ」が、大接戦を繰り広げる米大統領選の投開票を前に共和党陣営の政府批判に利用される騒ぎに発展している。 ピーナツは、7年前に動物保護区を運営するコンテンツクリエーターの飼い主マーク・ロンゴ氏が、交通事故で母親を失った子リスを保護して大切に育ててきたペットだった。1度は野生に返そうとしたもののけがをして戻ってきたことから、ピーナツと名付けて飼育。インスタグラムに芸を披露する愛らしい様子などを投稿し、69万5000以上のフォロワーを誇る人気者だった。 しかし、野生の動物を無許可で飼うことが禁じられているため、複数の通報を受けた州政府が狂犬病の危険性があるとの理由から保護区を捜索し、ピーナツとアライグマのフレッドを押収して殺処分した。ロンゴ氏は、ピーナツを飼育するために教育用動物として認めてもらう準備をしていたという。 ロンゴ氏が涙ながらに別れを報告する動画を投稿し、メディアで注目を集めると、トランプ氏を支持する実業家イーロン・マスク氏が、「政府が家に押し入ってペットを殺すことは許されるべきではない。そんなことはおかしい」とコメント。政府の行き過ぎた行為だとバイデン政権を非難した。 また、共和党の副大統領候補ヴァンス氏も、3日にノースカロライナ州で行われた集会でトランプ氏がピーナツの死に激怒しているとコメント。「何十万人もの不法移民犯罪者が、我が国に流入していることを気にも留めない政府が、我々がペットを飼うことを望んでいない。これはもっともクレイジーなことだ」と話した。オハイオ州でハイチからの移民がペットの犬や猫を食べているという虚偽の話を広め、物議を醸したこともあるヴァンス氏は、ピーナツの安楽死を利用して民主党の移民政策を批判した。 ネットにはピーナツの正義を求める偽のトランプ氏の声明も拡散されていると、米オンラインメディアTMZは伝えている。「ピーナツがメキシコ出身だと言えたら、ホテルの部屋と500ドルのギフトカードが与えられただろう」などとハリス氏の移民政策をやゆする文書が出回っているという。(ロサンゼルス=千歳香奈子)