放置竹林から純国産メンマ 豚骨ラーメン発祥の地にぴったりの特産品誕生 「美味しく食べて竹林整備」【福岡発】
全国各地で深刻な問題となっている放置竹林。土砂災害になる危険性も排除できないため誰かが手を入れる必要があるが、費用や管理の問題などがあり現実は難しい。その解決策として放置竹林から新たな特産品を生み出そうとする取り組みを取材した。 【画像】放置竹林からメンマ
タケノコ栽培が廃れ放置竹林に
福岡・久留米市で不動産業を営む渡辺琢磨さん(51)に案内されたのは、久留米市民に馴染み深い高良山。登って行くと枯れたり伸び放題になったりした竹藪に辿り着く。「ここが高良山の竹林です。どんどん伸びてきて竹藪になってしまった」と話す渡辺さん。渡辺さんは今、地元、高良山の放置竹林問題に取り組んでいるのだ。 竹林は、大正時代にタケノコ栽培のために全国に広まった。しかし海外から安価なタケノコ(麻竹)が輸入され始めると採算が合わず放置され、今では竹藪になっている場所が多い。竹林の竹藪化は全国的にも深刻な問題なのだ。渡辺さんに案内された一帯は孟宗竹が密集していた。孟宗竹は浅く根を張りながら周囲に広がる特性があるため、大雨が降ると地滑りなどの土砂災害を引き起こす危険性がある。 「竹の繁殖力が強く周囲に伸び広がり、今では竹林になってしまった」と話す渡辺さん。案内された場所は、渡辺さんの曾祖父から代々受け継ぐ土地で、かつて約0.6ヘクタールの敷地でタケノコ栽培を行っていたという。
放置された故郷の竹林を見て愕然
地元を離れサラリーマンをしていた渡辺さんは、5年前に久留米に帰郷。その時、放置された竹林を見て愕然としたという。そして整備活動を始めたのだ。高良山竹林環境研究所を立ち上げ本格的な竹林整備に乗り出した。「地元の小学生も遠足は大体、高良山に登りますし、毎年お正月には高良大社に登って祈願されるので、久留米市、筑後平野にとっては、高良山、高良大社は有難い特別な存在だと思います」と渡辺さんは話す。 地域ボランティアの協力を得ながら竹林整備を行ってきた渡辺さんだったが、ある時、竹を切るだけでなく活用する方法に出会う。福岡・糸島市でメンマ作りをしている情報を得た渡辺さんが「面白そうだな」と現地に話を聞きに行ったことがきっかけだった。 そして放置竹林の活用方法として渡辺さんが辿り着いたのが、純国産のメンマ作りだった。糸島市は全国に先立ち「純国産メンマプロジェクト」が進められていて、興味を持った渡辺さんは、ノウハウを学び「メイドイン高良山」のメンマ開発に取り組んだのだ。