継いだ蜷川幸雄さんの思い 平均年齢72歳の男性ダンスチームの挑戦
日テレNEWS
ゼロからヒップホップダンスに挑戦する平均年齢72歳の男性チーム。そこには、今は亡き演出家、蜷川幸雄さんの思いが受け継がれていました。 ◇ 「カモンベイベーアメリカ~」 今月10日。都内のスタジオで懸命に踊る男性たち。平均年齢72歳の男性ヒップホップダンスチーム、ケロッグ・ダンディーズです。2021年にダンス未経験の男性9人が集まって設立しました。 メンバーは、かつては大企業などでバリバリ働いていた人ばかり。 チームリーダー・吉本好一さん(72)「金融マンです」 チームメンバー・中谷俊信さん(72)「電子部品商社に勤めていました」 75歳の宮沢さんは元教員。名門男子校で副校長をしていました。 チームが設立されたのは―― チームメンバー・宮沢正喜さん(75)「蜷川さんの『1万人のゴールド・シアター』に参加したことがきっかけ」 立ち上げのきっかけ、それは、7年前に亡くなった日本を代表する演出家、蜷川幸雄さんにありました。 実は、蜷川さんが、晩年、力を入れていたのが、高齢者の演劇でした。人生経験を積んだからこそできる表現があると、プロのシニア演劇集団「さいたまゴールド・シアター」を立ち上げ、2016年には、一般の高齢者1万人が出演する演劇の上演を呼びかけました。 退職していた宮沢さん、募集を知って、興味を持ちました。 宮沢正喜さん(75)「授業で大きい声出してるから、舞台でも大きい声出してみたい」 ところが…、募集開始の翌月、蜷川さんはこの世を去ります。 蜷川さんの遺志を継いだスタッフと集まったおよそ1600人の高齢者が舞台をつくりあげました。 その後もつながり、演劇を続けた参加者たち。 経験ゼロから始めた舞台に苦労していた宮沢さん。あるセリフに転機が。 宮沢正喜さん(75)「『バカヤロー』(というセリフ)ですよね。ここは厳しく指導した方がいいかとかここは褒めなきゃいけないとか、そういったものは自然に染みついている」 人生経験をいかして、表現する。その面白さにめざめ、参加者の中から立ち上がった男性ヒップホップダンスチームに参加。 宮沢正喜さん(75)「授業のとき、どう反応してるかが必要。それも(舞台と)同じ」 化粧品会社の営業出身で役員を務めた堀田さんも―― 堀田裕司さん(67)「(営業での)余興はすごく実は生きてる。どうすれば笑ってくれるとか、生の舞台ってあるじゃないですか。結果として何か稽古をずっと積んできたみたいな感じ」 去年、はじめてチームとして舞台にたちました。 宮沢正喜さん(75)「貴重だと思うんですよやっぱり。70年以上生きてきた、培ってきたものがあるわけで。やっぱ生きてくると思う」 この日はチームの今後について話し合いが。 堀田裕司さん(67)「シニアのダンスコンテストに参加したい。優勝というところまでいければ」 メンバー「チャレンジしましょう!」 チームで単独公演を打とうという声も。 高野喜昭さん(66)「仮タイトルはおじいさんたちが夢見るアメリカンドリームかな」 仲間と夢中に話す姿は少年たちのよう。 宮沢「平均年齢72歳ははっきり言って老体だけどそのパワーを見せつけたい」 平均年齢72歳。蜷川さんの思いを胸に、新たな青春の舞台は始まったばかりです。