中川晃教　撮影／三浦龍司

　中川晃教は2001年、自身が作詞作曲をした「I WILL GET YOUR KISS」でシンガーソングライターとしてデビューし、同年の日本有線大賞では新人賞を獲得した。また’02年に『モーツァルト!』でミュージカルに初主演すると、文化庁芸術祭賞・演劇部門新人賞や読売演劇大賞・優秀男優賞など様々な賞で受賞を重ね、その後も数々のミュージカル作品に出演し、トップランナーとなった。彼にとって、その生き方が影響を与えることとなった変化「THE CHANGE」とは、いったいなんだったのだろうか。【第5回/全5回】 ■【画像】眉なし・長髪が美しい!中川晃教さんが演じる「音楽の悪魔」のビジュアル■ 　デビューから20年以上第一線で活躍し続け、いまや日本の舞台になくてはならない存在となった中川さん。 　ステージ上で見事な存在感を放つ姿は、もはや多くの人にとって当たり前のものとなっているが、プライベートの中川さんはどんな風に日々を過ごしているのだろうか。気になって聞いてみると、こんなエピソードを話してくれた。 「いま一緒に『CROSS ROAD～悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ～』 というミュージカルで共演している相葉裕樹くんから、“中川さんて生活感が全くないから、普段どういう暮らしをしているのか想像がつかない”って言われたんですよね（笑）。 　僕自身は“自分に生活感がない”なんて思ったことがないので、どうしてそんなふうに思われるのか分からなかったんですが、よくよく考えてみたら、これって僕が自然体でいられるように周りの方々がそうしてくださっているからなんじゃないのか、ということに気づいたんです」 　周りから見て生活感を感じられないほど、自分のやるべきことに集中できる環境を作ってくれている。支えてくれている多くの人たちが自分にしてくれていたことに気づき、中川さんは改めて感謝の思いを抱いた。

「感覚を研ぎ澄ます」

　そうした環境の中で、中川さんは舞台の上で“感覚を研ぎ澄ます”ということを大切にしているという。この体験について、中川さんは丁寧に説明してくれた。 「公演が始まると、稽古してきたセリフや段取りを毎日披露していくわけじゃないですか。それまでにきっちり作り込んできたから、本来は何か新しいことをやってやろうとか、どこかを変えてやろうなんてことは思わないんです。 　でも、同じことを繰り返していく中で、実は昨日とは違う何かを感じたりする意識が研ぎ澄まされていくことがあるんですよね。僕は直感で何かを捉えることが多いので、舞台に立った時の香りとか空気で、今日入っているお客様がどういう方たちなのかっていうことが、意識として自分の中に入ってくることもあります」 　長いときには1か月以上同じ演目を続けていくこともある舞台の公演。そんな中で、昨日とは違う何かを生み出すため、このような意識を持つことが重要であると、中川さんは指摘する。