観客たちが劇場に何度も通う理由

中川晃教撮影／三浦龍司

「毎日同じことを演目としておこなうミュージカル作品でも、やっぱり“毎回何かが違う”、“何か新しい発見がある”、そう思えるからこそ、お客様は何度も会場に足を運んでくださるわけですよね。 　だからこそ、ステージに立っている時に研ぎ澄まされていく感覚や感性を失わないように保ち続け、上手に育てていくことを、無意識ながらもずっとやり続けているんだと思います」 　このように、自身の中で日々芽生える感覚を大事にしながら舞台に立ち続けてきた中川さんだが、いま少しずつその意識にも変化が訪れているようだ。 「最近は直感に任せて日々の変化を楽しんでばかりもいられないな、と思うことも少しずつ増えてきました。“変化がない”ということは“間違いがない”ということにもつながるので、それはそれで当然良いことなわけです。 　こういうふうに考えるようになってきたのは、自分が年齢を重ねてきたということも大きく影響しているように思います。それらを踏まえて今は、“間違いがない”状況を作り出す責任も感じつつ、昔のように直感的な“変化を楽しむ”気持ちも持っていたいな、と思っていますね」 　いままで多くの舞台に立ち、様々な経験をしてきた中川さんだからこそ、自身の中で起きている変化「THE CHANGE」に対して、抗うことなくうまく対処し、その先を見据えるための原動力としているようだ。 なかがわ・あきのり 1982年11月5日生まれ、宮城県仙台市出身。’01年「I WILL GET YOUR KISS」でシンガーソングライターとしてデビューすると、同年の日本有線大賞で新人賞を獲得。また’02年に『モーツァルト!』でミュージカルに初主演すると大反響を呼び、以後はミュージカルを中心に様々な舞台で活躍。7月15日に開催される公演『ミュージカルは最強です!2024』では、昨年に引き続きコントにも挑戦する。 THE CHANGE編集部