「制服の人が多い今こそ危険…」元陸上自衛隊幹部が明かす“ニセ自衛官”の手口と本物の見分け方
そのほかにも、被災しているホテルに行き、酒を保管している貯蔵庫の中から抜きだし、ネットなどで販売している例もあった。中には明治時代から創業している酒蔵の有名な日本酒やワインなどがあったが、その酒蔵が震災で被災していたため、盗んだものが売られていたとわかったのだという。 「自衛隊の場合、エリアを決めて作業を進めます。逆に言えば、決められたエリア外に足を踏み入れることはない。エリア外の遠方で『何かおかしい』という動きを見つけたとしても、目の前の作業に必死ですし、実際のところ、その現場に行って怪しい人物に注意したり、問い詰める時間的余裕もないんです。だから“悪さ”をしていると疑われるような人を見つけても、取り締まることはできませんでした」(照井氏) では、“ニセ自衛官”と本物をどうやって見分けるのだろうか。照井氏が続ける。 「2つあります。もし、被災した家を見に行って、自衛官らしき人に声をかけられたときは一緒に写真を撮る。写真撮影に応じなかったら、2番目として渉外担当者の窓口の電話番号の連絡先を聞くといいでしょう。 なぜ渉外担当の連絡先を聞くのかというと、隊本部には外部とやりとりする窓口が存在していて『手伝いに来てほしい』と助けを求める連絡先もこの窓口になっています。現場に来ている隊員がそれを把握していないわけがない。それを知らない、ということはいわゆる“泥棒”ということになるんです」 被災者は「助けてもらう立場で人を疑いたくない」という心理状態にあるかもしれない。ただ今回の震災は地震によって道路と橋が寸断されており、不整地でも走行できる自衛隊車は移動できても、警察のパトカーのような乗用車が自由に行き来できないため、無法地帯に近い状態が続いてしまうという。自衛隊員の服装をして盗難や詐欺的行為をしようとする“ニセ自衛官”たちが、被災者の「助けてもらいたい」心理を利用していることを忘れてはならない。
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