ジェネリックもない…抗インフル薬不足深刻 連休前に緊急要請、長崎県は「備蓄薬放出考えない」
インフルエンザの爆発的流行で、抗インフルエンザ薬タミフルもジェネリック薬も入荷できない事態が発生しているとして、長崎県保険医協会が10日、県に対し備蓄薬の放出可能性も含めた必要な措置を求める緊急要請書を提出しました。 【写真を見る】ジェネリックもない…抗インフル薬不足深刻 連休前に緊急要請、長崎県は「備蓄薬放出考えない」 ■感染急拡大 緊急要請書を提出したのは、長崎県内の医師と歯科医師1860人が加盟する長崎県保険医協会です。 長崎県では12月23日~29日の定点当たりの報告数が1医療機関当たり「82.27」となり前週から倍増。警報レベルの基準値「30」を大きく上回る急激で爆発的な流行となっています。 10日に発表された1月5日までの報告数は「45.60」に下がっていますが、これは定点観測の対象医療機関が年末年始に休診したためとみられていて、県では「警報レベルの流行が続いている」として警戒を続けています。 ■抗インフルエンザ薬の供給停止で深刻な影響 要請では「抗インフルエンザ薬のタミフルおよびタミフルのジェネリック薬を注文しても入荷できない、また、入荷の目途が立たないという事態が発生している」としています。 さらに「1月8日に沢井製薬がタミフルのジェネリック薬の供給一時停止を発表し、事態はさらに悪化した」と訴え、県の備蓄薬の放出可能性も含めた対応を求めています。 抗インフルエンザ薬については今月に入って、中外製薬もタミフル、塩野義製薬もゾフルーザの限定出荷を発表しています。厚生労働省は9日、医療機関に対し▼過剰な発注控えや▼5歳以上の患者には吸入薬の処方を検討するよう呼びかける文書を各都道府県などに出しました。 ■備蓄薬は使用できるのか?県の見解は… 要請に対し県は「今シーズンは年末から急激に流行が広がっており、県内でも薬の供給状況に乱れが起きている」との認識を示しました。 一方、備蓄については「国の指示により『新型のインフルエンザ』対策として備蓄しているもので、季節性のインフルエンザへの使用は目的が違う。県の判断で使用できない」としており、現時点で備蓄の放出については考えていないとしています。
長崎県では国の要請を受け、タミフル(カプセル)約5万3800人分、タミフル(ドライシロップ)約3万1100人など、トータルおよそ18万4600人分の抗インフルエンザ薬を備蓄しています。
長崎放送