新たな歴史の扉を開いた寒川!! 決勝で尽誠学園に1-0勝利、無失点で頂点まで駆け抜けて初の選手権出場!!:香川
[11.9 選手権香川県予選決勝 尽誠学園高 0-1 寒川高 香川県営サッカー・ラグビー場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権香川県予選決勝が9日に行われ、20年ぶり2度目の出場を目指す尽誠学園高と初出場を狙う寒川高が対戦。後半3分に奪ったMF田北海翔(3年)のゴールを守り切った寒川が1-0で勝利し、選手権初出場を決めた。 「負けず嫌いが凄い。最初に行なうウォーミングアップのダッシュ、食事の量でも横の奴には負けたくない。そうした小さな勝負で勝とうとする学年。諦めが悪い学年です」。今年の寒川について、そう評するのは就任14年目の岡田勝監督。負けず嫌いな学年が、創部40年目のチームの新たな歴史の扉を開いた。 決戦前の様子について、「これまでは決勝まで行くのが精いっぱいで、試合までの1週間は浮ついていた。ただ、今回は今年2月の新人戦決勝よりは落ち着いていた」と岡田監督は振り返るが、いざ試合が始まると上手く行かない。前線のターゲット役となるはずのFW冨澤快斗(3年)がボールを受けようと下がりすぎたため、自陣に11人がいる状態となり、序盤から尽誠学園に押し込まれた。 試合開始直後には競り合ったこぼれ球をPA右で拾ったMF上野山碧人(3年)がシュートを放つ。前半21分には自陣から左前方に対角へのフィードが入るとMF山口悠大(3年)が中へのドリブルを披露。この仕掛けは相手にクリアされたが、セカンドボールを拾ったDF三谷龍之介(2年)が狙うなど尽誠学園が見せ場を作った。 ただ、相手がサイドから仕掛けてくるのは寒川の想定内。「この選手権はどの試合も後半に点が入っていたので、DFはしっかり守り切って、ゼロで試合を折り返そうと思っていました」。そう話すDF廣畑寛汰(3年)はこう続ける。「相手は1対1が得意な選手がいるので、今週はずっと1対1の練習をやってきた。勝てない時はしっかり2対1の数的優位を作って守ろうと意識していた」。 粘り強い守備対応で狙い通り前半を無失点で終えると後半に入ってからは攻撃のギアを入れる。後半3分にはMF伊藤瑛規(3年)が自陣で得たFKをゴール前に展開。このボールは相手DFに跳ね返されたが、落下点に入ったMF三笠大地(3年)が再びゴール前に送った。PA右で競り合いのこぼれ球を拾ったDF稲谷優人(2年)がPA内にパスを通すと反応したのは田北。「クロスを上げくれた選手がキックモーションに入った時に、ここら辺に来るかなと思って、走りこんだらボールが来ました。あとは流し込むだけでした」と振り返る一撃がゴールネットを揺らし、寒川が先制した。 8分には中央を連携で崩して、MF寒川絢斗(3年)がシュートを放つなど後半に入ってからは寒川のペースで試合が進む。それでも、追加点を奪えずに試合終盤を迎えると、同点を狙った尽誠学園の追い上げを受けたが、GK谷山英悟(3年)を中心に守備の集中力を切らさない。「連携が上手く行っていた。ボールが切れた時、マイボールの時も声をかけることができていた」(岡田監督)。試合はそのまま1-0で寒川が逃げ切り、初の全国大会出場をつかみ取った。 寒川は今年初めてプリンスリーグ四国に参戦。「今まで県1部リーグを戦っていた時は勝たなければいけない試合をやっていたのですが、プリンスは相手がみんな格上。守備の時間が増えるし、攻撃も少ないチャンスを物にしないといけない。プリンスの経験がトーナメントに生きた」。田北がそう話す通り、格上に揉まれながら成長し続けてきた経験は大きかった。 インターハイ予選の決勝で尽誠学園に敗れたダメージは大きく、5連敗した時期もあったが、「もう負けたくないと全員が思って、無失点を意識するようになった。失点しなければ負けないので、守備に関しては徹底してきた」(廣畑)とチーム全体での守備意識が向上。今大会を無失点で終える要因となった。 全国大会は初めてだが、臆する様子は見られない。「全国でも彼らを躍動させたい。また一つ成長して、大会に臨まないといけない。県を突破してきた強豪校ばかりなので、仲間入りできるように頑張りたい」。そう意気込むのは岡田監督で、虎視眈々と上位進出を狙っている。 (取材・文 森田将義)