ディフェンダーそっくり? 30分水に浮かべる その場で回転できる 1196馬力のヤンワンU8へ試乗
最高出力は1196ps 期待ほどではない複雑なサス
ヤンワンは、グレートブリテン島にU8を運んできてくれたが、英国の公道に出られる認可は得ていない。あいにく、今回の試乗はグッドウッド・モーター・サーキットを数周走るだけに制限された。 サスペンションは、油圧アクチュエータで車高とスプリングレートを変化させるという、凝った仕掛け。ポルシェがパナメーラ・ターボに与えたシステムと異なり、エアスプリングではなく、コイルスプリングとアンチロールバーで支えられている。 ただし実際は、期待ほど有能なシステムではない様子。積極的にコーナーを攻めても、不安定になることはなかったものの、車重を忘れさせるような身のこなしを生んでいるとは感じなかった。平坦なアスファルトでは、不自然な硬さを感じることも。 4モーターでの最高出力は、総合で1196psもある。その数字から想像するほど、驚異的な加速力ではないが、相当に速いことは事実。内燃エンジンは、静かに回転していた。 試乗中は、不意にパワーが制限される場面があった。トラクション・コントロールが介入していたのか、駆動用バッテリーが電力をセーブしていたのか、理由はわからない。 残念ながらグッドウッドには、U8を浮かべられる大きな池はない。だが、ヤンワンのスタッフは、巨大なボディをその場で旋回させ、笑顔を浮かべていた。全長5320mmのSUVがクルクルと回る様子は、サーカスで玉乗りをする象のように見えた。 足回りへの負担は、小さくないだろう。だが、何度も続けられる耐久性はあるらしい。
見過ごせない技術力 次の展開は?
U8の価格は、中国で110万元(約2268万円)。英国仕様として右ハンドルへ変換され、登録を終えるまでに、さらに上昇することは間違いない。実際の走りや上質さより、目新しい機能などを売りにする新興ブランドとしては、かなり高額といえる。 それでも、ヤンワンの低くない技術力は見過ごせないとも感じた。U8が、数年後に英国の売れ筋モデルになっている様子は想像できない。だが、次の展開が興味深いブランドではあるだろう。
ヤンワンU8(中国仕様)のスペック
中国価格:110万元(約12万ポンド/2310万円) 全長:5320mm 全幅:2050mm 全高:1930mm 最高速度:159km/h 0-100km/h加速:3.6秒 燃費:7.1-10.6km/L(予想) CO2排出量:-g/km 車両重量:3500kg(予想) パワートレイン:クワッド永久磁石同期モーター+直列4気筒1997cc ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:49kWh 最高出力:1196ps(システム総合) 最大トルク:-kg-m ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部