「点火プラグ」のチェック、したことありますか?
点火プラグのチェックは“日常メンテ”だった!?
バイクのエンジンは、シリンダーに吸い込んだガソリンと空気を混ぜた混合ガスが爆発することでエネルギーを生み出します。その混合ガスは「点火プラグ」で飛ばした火花によって燃焼しています。 【画像】点火プラグの画像をもっと見る(10枚)
点火プラグはエンジンのシリンダーヘッドに装着され、燃焼室に突き出した電極に火花を飛ばして混合ガスに火を点けます。そして点火プラグにはエンジンの特性(圧縮比や混合ガスの濃さ等々)に合わせた「熱価」が定められています。この熱価が適正でなければ、電極付近が混合ガスで湿る“カブッた状態”や、逆に真っ白な“焼け過ぎの状態”になったりします(熱価が適正であればキツネ色~薄ネズミ色にキレイに焼ける)。 点火プラグがカブった状態になると、エンジンの始動性が悪くなったり、混合ガスでベッタリ濡れて火花が飛ばなくると、まったくかからなくなります。また焼け過ぎていると、最悪の場合はエンジンが焼き付いて壊れてしまうこともあります。 バイクメーカーが指定する熱価(番手)の点火プラグを付けているのにこれらの症状が出る場合は、バイクに何らかの問題(エアクリーナーが汚れている、キャブレターの不調、点火系の不調など)があります。そのため、かつては点火プラグを外して電極付近の焼け具合をチェックすることが、日常的な点検のひとつだったのです。 じつは1970年代頃までのバイクは、故障していなくても点火プラグがカブってエンジンがかからなくなることがありました。とくに当時の2ストロークエンジンはその傾向があり、1980年代のバイクでも、エンジンのかけ方が悪いと(キック始動に慣れていなかったり、始動時に必要以上にアクセルを開け締めするなど)カブりました。また、しばらく乗っていないだけでも、エンジンのかかりが悪くて結果的にカブってしまうこともありました。
点火プラグがカブった時は、エンジンから点火プラグを取り外し、プライヤーでつまんで台所のガスコンロで電極を焼いたり、出先だとライターで炙って混合ガスで湿った電極を乾かして、火花が飛ぶように復活させました。また予備の点火プラグを携帯するライダーも少なくありませんでした。 そのため、当時のバイクの車載工具には、点火プラグを脱着するためのプラグレンチが、もれなく含まれていました。 そしてバイク自体も、点火プラグが脱着しやすいようシリンダーヘッド上部に余裕をもって作られていました。カウリングを装備したレーサーレプリカの場合も、点火プラグへのアクセスのしやすさを相応に確保していました。それくらい点火プラグのチェックや交換は、一般的な作業だったのです。