せっかくコロナ禍が明けたのに 観光客がV字回復の宮島の旅館、人手不足で営業制限続く 変則勤務が若者就業のネックに
宮島(広島県廿日市市)の宿泊、交通事業者などの人手不足が深刻だ。新型コロナウイルス禍からの「V字回復」で観光需要が一気に戻ったが、従業員が足りず営業を制限せざるを得ない状況が続く。 【画像】人手不足で「運休」と貼り出された宮島のタクシー乗り場 床の間がある客室に布団や座布団が積まれる。島内の旅館「みや離宮」では、コロナ禍で70%に抑えた客室の利用を今も戻せていない。坂元義治副支配人は「フル稼働させたいが、人が足りない。宿泊をお断りする時もある」と渋い表情。 コロナ禍では一時、宿泊がなく休館した日もあった。新規採用を控えていたところ、昨年は来島者が過去2番目の多さに急増。従業員を増やそうにも勤務時間が変則的な宿泊業は若者に敬遠されがちで、苦戦が続く。 6月には、島内で唯一タクシーを運行する宮島カープタクシー(同市物見東)が、運転手不足で週2日の運休日を設けるようになった。新たに人手を確保し、年内にも運休を解消できる見通しだが、稼働していない車もあり、ドライバーはなお足りていないという。 就職ガイダンスは厳しい現状を受け、官民で造る廿日市市産業まちづくり委員会やハローワーク廿日市など4者がこのほど「宮島での就職」をテーマに求職者向けのガイダンスを開いた。同委員会は「人手不足で営業に支障が出ている。官民一体となり、人材確保を進めたい」としている。
中国新聞社