「いつ達成する?」大谷翔平は「50-50」すら通過点に!? 快挙を逃す”可能性”とその”障害”とは【コラム】
同年代に「40-40」を達成した選手のペースは…?(盗塁)
これらをみても、終盤に近付くほど大谷選手の後半の数字の伸びが顕著になっている。盗塁達成のペースをみると、チーム100試合目を過ぎて大谷選手のペースが上がっているほか、ボンズ選手はシーズンの最後にペースを上げ40盗塁を記録している。 本塁打の達成ペースをみると、80試合目以降は大谷選手とソリアーノ選手がほぼ同じペースになっているが、ソリアーノ選手は、50本塁打達成を目前にした130試合目以降はペースが失速し、50本塁打には届かなかった。
このペースなら「50-50」のその先も…?
次に、現地時間9月2日終了時点における、残り試合のドジャースの対戦相手と大谷選手の今年これまでの対戦成績を示す。 単純計算で、上記対戦相手には、2.8試合に1本の本塁打を打ち、3.1試合に1つの盗塁を決めている。これを残り試合にあてはめれば、本塁打は8~9本、盗塁は7~8個加算できる計算になる。対戦相手別に細かく計算すれば、本塁打は残り試合で10本以上、盗塁は7以上記録する計算になる。 これまでの経緯を振り返ると、シーズン終了時までに、多くのファンのイメージよりも早く「50-50」を達成する可能性すらある。9月の最終週には、「55-55」の可能性の話すら出てくるかもしれない。 では、どこまで伸びるのか。101試合目以降の達成ペースが上記残り24試合も継続するならば、単純計算で、本塁打52~53本、盗塁数60~61になる。「50-50」の達成は、9月20日からのホームでのロッキーズ3連戦のタイミングとなるか。
「50-50」達成の障害になり得るのは…?
こうした中、あえて「50-50」の達成の障害となるものを私なりに以下に列挙した。下記以外に故障などの不測の事態もある。 1)期間ごとの本塁打数、盗塁数の偏り 大谷選手に本塁打が連続して出なかった最長の試合数は5月18日~28日(第2試合)の10(うち1試合欠場)で、開幕から4月2日までの8試合がこれに次ぐ。 盗塁は、本塁打に比べて数字が伸びる時期と伸びない時期の差が大きく、開幕2戦目~4月12日(15試合)を含め、10試合以上連続で盗塁のない期間が3つある。残り24試合にこの期間が生じると達成に影響する。 2)「あと1つ」の難しさ:記録達成の重圧 達成直前の難しさとして、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手の例がある。同選手が2022年にアメリカン・リーグ本塁打記録を更新した際、あと1本~タイ記録まで8試合、さらに新記録まで6試合を要し、シーズン最終戦の1つ前の試合でようやく達成した。 「あと1つ」はどうしても難しいものだ。前記2006年ソリアーノ選手も50本目前で本塁打が出なくなった。 3)ポストシーズン進出がかかるチームとの対戦 地区優勝を争うサンディエゴ・パドレス、アトランタ・ブレーブスなどポストシーズン進出可能性を残すチームとの対戦が残り試合の半分以上だ。勝負を優先して大谷選手を申告敬遠する可能性が上がり、本塁打の可能性が下がる。 4)ポストシーズンへの調整に向けた欠場の可能性 ドジャースがポストシーズン進出を早く決めた場合、残りの消化試合は、ポストシーズンへの調整に向け大谷選手を休養欠場させる可能性が高くなる。まして、大谷選手は5月の3試合欠場を除き今季は試合に出続けている。 もし上記の事態が起こればどうすればいいか。私の考えは単純だ。本人が一番欲しいものは、まだ経験のない勝利のシャンパンの味のはずだ。ポストシーズン進出、ワールドチャンピオンという最大の目標に向けてできることをやっていけばいい。 この目的に立ち返れば、多少の波はあっても「50-50」の数字はおまけとしてついてくるように見える。
ベースボールチャンネル編集部