【新型スペーシアを○△✕で判定】◯は豊富な便利機能!「×」はCVTのアレだった。
パレットの後を受け継いだ軽スーパーハイトワゴンのスズキ・スペーシアは、2013年3月に初代が、2017年12月に2代目が登場した。2018年12月には、アウトドアテイストを盛り込んだスペーシア ギアを投入し、スペーシアの販売増に貢献しているだけでなく、ダイハツ・タントファンクロス、三菱デリカミニというライバルも生んでいる。2023年11月に発売された3代目スペーシア/スペーシアカスタムの「○△×」を探ってみた。 【写真を見る】新型スペーシアの◯×を解説。※本文中に画像が表示されない場合はこちらをクリック TEXT:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro) PHOTO:中野孝次(NAKANO Koji)/ 塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
【新型スペーシアの◯】アイディア満載の後席オットマン機能と先進安全装備のアップデート
新型スペーシア/スペーシアカスタムに限らず、サイズに制約のある軽自動車の場合、規格が改定されない限り、パッケージングの面で大きな進化は期待できないのが実情だ。つまり、各社ともに限界まで室内や荷室の広さを煮詰めている。そこで、スズキは、新型スペーシア/スペーシアカスタムの開発にあたって、後席をはじめとした快適性の向上に注力した。 その目玉は、「マルチユースフラップ」と呼ぶ後席のアイディア装備で、ふくらはぎを支える「オットマンモード」、座面を延長する感覚で脚裏を支える「レッグサポートモード」、「荷物ストッパーモード」という1人3役をこなせる装備を初めて用意。 同装備の発想は、リヤシートに荷物を置きたい、床には置きたくないという、ユーザーの声からだったという。ダイハツは、ムーヴキャンバスで「置きラクボックス」を設定していて、こうした荷物置き場を検討したそうだ。誰しも床に荷物は置きたくないはずで、後席に置くと走行時やブレーキング時に荷物が転がり落ちてしまうことがある。そこでストッパーの役割を与え、それだけでは装備としては物足らないという判断から、軽初のオットマン、脚裏を支えるレッグサポートモードも備えたという。 操作は慣れてしまえば容易で、フラップは座面横にあるボタンを押すと引き出すことができる。シートのヘッドレストを延長させる時のような操作感だ。フラップの前後位置は4段階、上方向には2段階調整できる。フラップを上向きにすればストッパーモードになる。 身長171cmの筆者が座ってみると、フラップの好みに前後位置と角度を何度か探る必要があったが、後席の背もたれを少し寝かせて、センターアームレストを使うことで快適なポジションを得ることができた。オットマンモードは、停車時、休憩時など向けのモードで、「レッグサポート」は走行中での後席乗員の疲れを抑制してくれそう。もちろん、高級車のようなオットマン付シートには遠く及ばないものの、ファーストカーとしての需要も多い軽スーパーハイトワゴンでは今までにない試みを「○」としたい。 さらに、走りの面では、最新の先進安全装備である「デュアルセンサーブレーキサポートII」の搭載が朗報だ。短時間の高速道路での試乗ではあったものの、アダプティブクルーズコントロールの加減速のコントロール、車線中央維持機能の違和感も少ない。新型ホンダN-BOXの「ホンダ・センシング」や定評ある日産(三菱含む)の「プロパイロット」と比べても遜色ないように感じられた。