「うつ防止」脳科学的にお勧めの「テレビの見方」 ワイドショーのコメンテーターに「そうだそうだ!」は危ない?
50代前後はだれもがメンタルの不調を覚えやすい時期。まさか自分が、と思っていた人でも「うつ病」になってしまう可能性はあります。そのような時期をどう過ごせばいいのか。精神科医・和田秀樹氏の著書『50代うつよけレッスン』から一部を抜粋し、ヒントを探っています。本記事ではテレビの視聴方法について取り上げます。 【写真】50代は変革期 人は何歳からでも変われる 『50代うつよけレッスン』 ■ワイドショーは脳の「老化促進マシーン」 「うつになりやすい思考」に陥らないように、普段から自分の言動を振り返るくせをつけたほうがいいのですが、テレビの視聴にもちょっとした注意が必要です。
一部には良質なドラマや教養番組もありますが、少なくともワイドショーは視聴者の不適応思考を助長し、不安を強くします。 ワイドショーでは事件や出来事をセンセーショナルに取り上げることが多くなりますし、意見を述べるコメンテーターたちの持ち時間は限られているため、議論が深められることはなく、単純で一方的な発言ばかりになりがちです。 たとえば、高齢ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えて暴走事故を起こしたようなとき、ワイドショーでは一斉に「高齢者は免許を返納すべきだ」と責める論調になりますが、実際には高齢者の起こす事故がもっとも多いというのは間違いです。
たとえば、警察庁の「令和4年中の交通事故の発生状況」で免許保有者10万人当たりの交通事故件数を年齢別に見てみると、一番多いのは16~19歳の年齢層で1039件、次いで20~24歳が597件です。 一方、高齢者を見ると75~79歳で372件、80~84歳で423件、85歳以上で498件です。30~60代よりは増加しますが、もっとも事故を起こしているのは10~20代前半なのです。実際、10~20代前半の自動車保険料は他の年代の数倍も高くなっています。
しかも、高齢者の免許人口はこの10年間で約2倍に増えていますが、同時期に高齢の運転者が起こした死亡事故の件数はほぼ横ばいですから、高齢者による死亡事故は増えていないと言えます。 私は一件しか知りませんが、90歳を超えた高齢者が暴走して死亡事故を起こしたりすると、インパクトが強いだけにセンセーショナルに報道されて視聴者の記憶に残りやすくなり、何となく高齢になるほど事故が多いように感じるかもしれませんが、実際にはそうではないということです。