過去最低視聴率の『紅白』、『カウコン』は『逃走中』に…ジャニーズの消えた年末年始のテレビ番組
ジャニーズ在不在の決定的な違い、それは、大きな話題を集めたYOASOBIによる「アイドル」のパフォーマンスだ。曲のコンセプトそのままに、曲中に日韓のボーイズグループ、女性アイドル、紅組白組それぞれのアイドルカテゴリーの出場歌手の選抜メンバーが次々に登場し華麗なダンスを披露、会場一体となり「アイドル」という存在、概念を強く印象付けるものとなった。 たらればでしかないが、このパフォーマンスは、横並びを嫌ったり序列を気にしたりするジャニーズがいたら実現しなかったという見方をする人は多数いた。実際そうだっただろうと思う。大型歌番組のジャニーズ不要論が一気に加速しそうなYOASOBIのパフォーマンスだった。 『カウコン』を放送しないフジはどうだったか。フジテレビでは人気バラエティ『逃走中』の大みそかSPとして19時から24時30分まで放送、番組放送中に年を越した。毎年カウコンの中継を楽しみにしていた視聴者にとっては開催なしは寂しい部分はあるだろうし、紅白終了後にフジテレビ系のチャンネルに移動するのが通例となっていた視聴者は、「あ、そうか、今年はどこ見よう」となったりしたかもしれない。 ◆YouTubeチャンネル、ファンクラブサイト、帝国劇場で…旧ジャニーズ勢は 年末年始、旧ジャニーズ勢は完全に姿を消してしまったのか。もちろん決してそんなことはない。 たとえばTBS系で放送された『CDTV ライブ! ライブ!』の年越し生放送には、WEST.(旧ジャニーズWEST)とTravis Japanの2組が出演しパフォーマンスを披露、番組を盛り上げていた。同番組には旧ジャニーズ勢の出演は例年数組あるため、例年通りとみることもできるが、WEST.が出演した時間帯はこれまでなら裏番組となるカウコンと重なる時間帯のため、その時間帯に生でテレビの地上波で、しかも一組かつ他局ではあるが、年またぎにジャニーズという空気を届ける貴重な存在となった。 1月1日の『さんタク』(フジテレビ系)。この番組は例年通り放送され、木村拓哉が出演。ゲストとしてSnow Manも出演していた(同日発生した地震の影響により番組の放送は中断された)。同日夜には関ジャニ∞の村上信五がMCをつとめる『月曜から夜ふかし 元日SP』(日本テレビ系)が放送された。 『さんタク』や『夜ふかし』といったジャニーズタレントがメインMCをつとめる既存の人気特番は放送されたが、紅白をはじめ、いち出演者として出演するような年末年始特番からは、『CDTV』をのぞき旧ジャニーズ勢は徹底して排除された4日間だったと見ることができそうだ。 いっぽうで『伊東家の食卓』(日テレ系)には三宅健、『WBC2023 大みそか・生放送スペシャル』には中居正広、さらには香取慎吾が内村光良の番組に出演するなど、退所組の姿をちらほら見かけ、超ライトな目には紅白とカウコンをのぞけばジャニーズ感はあまり感じなかったりしたかもしれない。 ではジャニーズたち、どこにいたのか。Kis-My-Ft2、WEST.、King & Prince、Snow Man、SixTONES、なにわ男子、Travis Japan、これらのグループはそれぞれ各自のYouTubeチャンネルやファンクラブサイトなどで配信を行い、それぞれライブやトークでファンに元気な姿を届けた。Hey! Say! JUMPも東京ドームコンサートの追加公演を大晦日に開催し多くのファンにアピールした。HiHi Jets、美 少年、少年忍者の3組は帝国劇場での新たな舞台をスタートさせている。 テレビ、特に地上波での旧ジャニーズの扱いはまだまだ逆風が強い状況は続く、もしくはさらに強まる可能性も高い。誰にでも見られるお茶の間の人気者という存在から、ファンが能動的に会う存在にシフトしていく可能性も感じられる。NHKでは『ザ少年倶楽部』に代わる新たな音楽番組も開始、人気ジュニアの出演も再開される。 ふたたびお茶の間に旧ジャニーズ勢が戻ってくる日はくるか、その間に他の人気者(決してボーイズアイドルばかりでなく)がその座をすべて埋めてしまうのか。’24年の注目の動向のひとつだ。 文:太田サトル ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。
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