キャリー取引と介入で円膠着、当面155-160円で推移か-アバディーン
(ブルームバーグ): 英資産運用会社のアバディーンは、低金利の円を売って高金利のドルを買うキャリートレードと日本通貨当局による円買い介入の間に挟まれ、円の対ドル相場は当面155円から160円前後のレンジで取引される可能性が高いとみている。
同社マルチアセット&インベストメント・ソリューション部門でインベストメント・ディレクターを務めるデービッド・チョウ氏は「160円前後であれば、日銀と財務省が介入するだろう。一方、キャリートレードとポートフォリオの流出がドル・円の下値を抑えるだろう」と述べた。
先週、メキシコとインドで行われた選挙の結果は市場でサプライズを生み、キャリートレードが巻き戻された。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後利下げに踏み切れば、日米金利差が縮小してキャリートレードが解消される可能性があるが、この点についてチョウ氏は慎重な見方を示している。
円キャリー逆流は杞憂、新興国政治リスクでも日本の個人は円売り堅持
チョウ氏によると、日本銀行による追加利上げなど金融正常化の動きは緩やかなものになると予想される半面、米国の利下げに伴う日米金利差の縮小は今年後半に起きる可能性が高く、キャリートレードは米国の要因に大きく依存しているという。円は対ドルで5%程度のネガティブキャリーとなっており、主要10カ国(G10)の中で最も魅力的な資金調達先の一つだとしている。
チョウ氏は、米10年債利回りが4%以下に低下した場合、円は対ドルで140円台へ上昇する可能性はあるものの、米景気が後退局面に入らない限り110-120円レベルには戻らないとの見方を示した。
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Winnie Hsu