【大学野球】難攻不落の法大エースを攻略 早大・前田健伸がリーグ戦初本塁打
打った瞬間それと分かる一発
【9月30日】東京六大学リーグ戦第3週 早大5-2法大(早大2勝1分) 難攻不落のエースを攻略した。 双方無得点で迎えた4回表二死一塁。早大の五番・前田健伸(3年・大阪桐蔭高)が法大の先発・篠木健太郎(4年・木更津総合高)から、右越え先制2ランを放った。打った瞬間それと分かる、豪快な一撃だった。 前田のバットは止まらない。6回表には右前適時打。8回表は右二塁打。サイクル安打がかかった9回表の第5打席は一ゴロも、3安打3打点と、勝ち点奪取に大きく貢献した。 一塁のレギュラー奪取は今春も、アーチは出なかった。3年秋での初本塁打の感想を語る。 「率直にうれしいです。(3年秋は)遅いもかも……。でも打てたので、次につながる」 大阪桐蔭高では高校通算13本塁打。「東京六大学で野球がしたい」。指定校推薦で早大に進学。1年春からリーグ戦の舞台に立つも、2年生の8月に右わき腹を痛め、同秋は出場機会がなかった。悔しさを胸に一冬を過ごし、上級生となった3年春にファーストの定位置を獲得したのである。
今春は打率.265、4打点。準優勝だった全日本大学選手権は13打数1安打1打点と、クリーンアップとして、納得いく数字を残すことができなかった。夏場はバットを振り込み、強い打球、長打力を追い求めた。練習の成果が出た今秋は5試合を終えて打率.421、1本塁打、5打点と好調をキープしている。 「良いバッターが続いているので、チャンスで回ってくる」。一番・尾瀬雄大(3年・帝京高)、二番・山縣秀(4年・早大学院)のチャンスメーカーに、すでに4本塁打15打点の三番・吉納翼(4年・東邦高)、四番の主将・印出太一(4年・中京大中京高)の後に控えた五番・前田が機能すれば、得点力が上がるのは明らかである。 「この勢いに乗って、残り3カードも勝てるようにしたい」 東大、法大との2カードを終えて4勝1分。 この春、早大は10勝2敗、勝ち点5の完全優勝を飾った。今秋は2003年秋以来、早大史上2度目の「10戦全勝優勝」を目指していたが、法大1回戦で引き分けた。だが、「全勝優勝」の可能性は残されている。 小宮山悟監督は試合後の取材対応で、厳しい表情を見せていた。防げる2つの攻撃ミスがあったからだ。2回戦は転がさないといけない場面で飛球を打ち上げ、3回戦は無死満塁の右飛で、三塁走者がタッチアップで生還できなかった。立大戦まで中4日。活動拠点の安部球場で、スキのない野球を突き詰める。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール