パッキャオが大差判定で初防衛成功「メイウェザーがやる気なら戦う用意はある」と明言
6階級王者のWBA世界ウェルター級王者、マニー・パッキャオ(40、フィリピン)の初防衛戦が19日(日本時間20日)、米国ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで、元4階級王者、エイドリアン・ブローナー(29、アメリカ)を挑戦者に迎えて行われ3-0の大差で判定勝ちした。パッキャオの次戦候補として大晦日に「RIZIN.14」のエキシビションマッチで那須川天心(20、TARGET)を1回TKOで倒した元5階級王者、フロイド・メイウェザー・ジュニア(41、アメリカ)との4年ぶりの再戦が急浮上。試合後、パッキャオは「彼がやる気なら試合の用意はできている」と明言した。40歳にして衰えのない強さを証明したパッキャオの今後の動向から目が離せなくなってきた。 パッキャオの通算成績は70戦61勝(39KO)7敗2分。
40歳でも実力健在を証明した
ハイライトは7ラウンドに巡ってきた。 ジワジワとプレスをかけながらコーナーにつめたパッキャオが、左のダブルを放つ。それがヒットすると一気にラッシュ。クリンチで逃げられたが、今度は、飛び込みざまに振り回した左フックから連打。コーナーを背にしたブローナーが、ガードを固めると空いたボディに続けてパンチを浴びせた。 またクリンチで逃げられたが、ブローナーは、横を向きながらロープ沿いをヨロヨロと歩き、明らかにダメージがあった。再びパッキャオは、そこに襲いかかったが、またクリンチ。ブローナーはゴングに救われたが、ファンは総立ちになった。ブローナーは「効いてない」とクビを振り、胸を叩いてコーナーに戻るが、ボクサーが、このポーズを取るときは大抵逆のケースが多い。 さらに9ラウンド。 パッキャオが、また強烈なプレッシャーをかけて前進。ブローナーの反撃の手が緩んだと見るや、容赦のない左ストレートを打ち込んでいく。ブローナーのカウンターの左フックと、パッキャオの左ストレートが相打ちになったが、勢いに勝るパッキャオのそれが顎をとらえた。ブローナーはロープに吹き飛び、その目は完全に泳いでいた。だが、ディフェンス巧者のブローナーを仕留めきることができない。 「もうひと押しだったし、KOしたかった。でも陣営が無理するなと」と試合後のパッキャオ。 ブローナーの一発逆転のカウンターを警戒した。 逃げまくり、自分から仕掛けていかないブローナーに対して、場内からブーイングが起きたが、結局「攻めるパッキャオ」「下がるブローナー」の構図は、最初から最後まで変わらないまま試合終了のゴング。ブローナーは、サウスポーのパッキャオに対して、左フック、右のストレートのカウンターを、その打ち終わりに狙うというスタイルを貫いたがクリーンヒットは一発もなかった。 パッキャオが、ほぼ全ラウンドで主導権を握り、当然、パンチの数は倍以上違っており、勝者が誰かは明らかだったが、ブローナーは両手をあげてコーナーに上って勝利をアピール。またファンのブーイングを浴びる始末だった。 判定結果は「117-111」が1人、「116-112」が2人の大差。名リングアナのジミー・レノン・ジュニア氏は、「スティル(防衛)」と宣言した後に、パッキャオの名を読みあげた。 試合前に予告していたKO決着とはならなかったが、スピード、パワー、リズム、積極性、スタミナ、得意のコンビネーションブローと、そのどれをとっても、全盛期には及ばないとはいえ、とても40歳とは思えぬ堂々と胸を張れる内容での完勝だった。 リング上でのインタビューでパッキャオは、「ベストを尽くしました。トレーニングキャンプの成果が出ました。勝てて良かったです」と第一声。続けて「これだけのパンチの量。40歳で凄いですね?」と質問されると「嬉しいです。神に、こういう能力を与えられたことが嬉しいですね。40歳でも、こんなことができた。今後はもっとアグレシッブにいきたい。コーチにも言われました」と笑顔で答えた。 ――多くの人があなたのキャリアはもう終わったと言いましたが、終わっていないということですね?と、根強い「パッキャオ限界説」を振り払ったことを尋ねられると「キャリアが終わったなんて、一度も思わなかったですよ。実力のあることを証明できました。40歳でもできるんです」と語りファンからの熱い声援が送られた。