「中学受験はコスパが悪い」納得の理由。“高偏差値の私立中学”を目指すのは有益な投資ではない
進学校に通うメリットはあるけれど
私も、大学進学実績を決めるのは、中学校進学以降の学習内容に大きく依存すると考えています。だからこそ、進学校に進学することはひとつの大きな手段であることは認めざるを得ません。 ただ、それが中学受験によって行われるべきかは、また別の話です。進んだ学習カリキュラムを手にするだけなら、進学塾に通えばいい話。開成や灘で東大受験特化型のカリキュラムを行われているわけではない以上、東大進学を目指すのであれば、むしろ進学塾に通わせた方が効率はいいでしょう。 そして、これらの進学校は、多くが私立校です。進学塾に通えば済むだけの話なのに、さらに私立校に追加でお金を落とすのは、本質を見失い、中学校や高校のもつブランドに目がくらんでいるだけであると言わざるを得ません。 こういった要素を加味すれば、中学受験で高偏差値帯の学校を闇雲に目指し続けることに意味はなく、むしろ中学校進学以降で教育資源を投下したほうが効果的と考えられるのではないでしょうか。 私は、高い学歴を身に着けたいならば、中学校進学以降で勉強にいそしみ、各都道府県トップクラスの公立高校に入学するべきだと考えています。中学生にもなれば、ある程度子ども自身も物事の分別がつく歳であり、過酷な「受験戦争」に対して主体的に取り組んでいける可能性があると考えているためです。 自我や認知能力が未発達な小学生の段階から、あまりにも多くの情報を詰め込んで優劣を決める中学受験は、子どもの将来を捻じ曲げてしまう可能性があります。首都圏に渦巻く異常な中学受験ブームですが、はやく悪い夢から覚めてほしいと願うばかりです。 ―[貧困東大生・布施川天馬]― 【布施川天馬】 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)
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