【ヤクルト】不屈の男・川端慎吾の努力が実った起死回生の一打
◆JERA セ・リーグ ヤクルト9x―8広島(25日・神宮) ヤクルトは両軍合わせ26安打が飛び交う乱打戦を制し、連敗を3で止めた。川端慎吾内野手が8回に起死回生の同点打を放ち、9回にサンタナ外野手のサヨナラ弾を呼び込んだ。 “代打の神様”が土壇場でチームを救った。7―8の8回1死三塁。「川端」の名前がコールされると、スタンドから大きな歓声と拍手が巻き起こった。 「とにかく前に飛ばそうと、事を起こそうと思って打席に入ったんですけど。簡単に追い込まれちゃって。『何でもいいから前に飛んでくれ』という気持ちだった」 2球で追い込まれた後の3球目。高めの釣り球を三遊間にはじき返した。14打席目で出た適時打で今季初打点をマーク。「毎日欠かさず、早く室内に行って練習して、それが報われたのかな」。陰の努力が結実したレフト前。ベテランが大仕事を果たし今年一番の笑顔を見せた。 プロ19年目。87年生まれの現役選手もどんどん減ってきた。「何だかんだで19年目ですからね。20年はやりたい。そこを目標に。14、15年目くらいからはそれを目標にしてきた。早いものでここまできました」 選手生命の危機もあった。17年と20年に腰の手術を行った時をこう振り返る。 「手術を2回して、あのへんで(現役が)終わっていてもおかしくなかった。そこからよく粘ったなと思います」 功労者とはいえ、結果が全ての世界。契約してくれた球団に対する感謝の思いは尽きなかった。結果で応えるために、若手をしのぐ量のバットを振った。 近年は腰痛が再発するリスクを考え、代打に専念する。21年は代打で82打数30安打の打率3割6分6厘をマークした職人だが、「めちゃくちゃ難しいですよ」と本音を漏らす。「後悔のない打席をつくりたい。しっかり準備をして立ち遅れないように」と強い信念を持って1打席に懸けている。 2度の“崖っぷち”からはい上がった不屈の男。「今日だけでも期待に応えられてよかったですけど、もっともっと期待に応えたい」と締めくくった。これから何度でも頼りにされる日が来る。(長井 毅)
報知新聞社