ポケモンGO初イベント横浜に200万人、会場を歩いて感じた“可能性と課題”
筆者も実際に街を歩きながら、みなとみらいエリアに点在する「ポケストップ」(ゲームアイテムがもらえる場所)や「ジム」(ボスバトルなどが行える場所)をめぐると、横浜の歴史的な建造物や普段は気に留めないようなスポットを知ることができ、ゲーム以外の気づきが得られる楽しさも体験することができました。 こうした楽しさを地方都市に隠れる魅力を知ってもらうきっかけにすれば、ポケモンGOは地方創生の大きな原動力になるのかもしれません。また、みなとみらいエリアの飲食店やコンビニなども活況で、ユーザーが大挙して押し寄せることによる経済効果も大きいといえるでしょう。 ただ、ユーザーからは「地方都市にはポケストップやジムが少なくゲームが楽しめない」という声も聞かれます。イベント開催を地方に拡大しながら、ゲーム環境の整備そのものを都市部から地方に拡大していく必要があると言えるでしょう。
“ポケモン一色”で本当によかったのか
一方で気になったのは、やはりユーザーのマナー違反です。ポケモンGOはユーザーに“歩きスマホをしない”、“立入禁止エリアに入らない”と注意喚起していますが、街の中では多くのユーザーが歩きスマホをしていたほか、突然立ち止まったり、方向転換をするためぶつかったりしそうになることも。 また営業中のコンビニの店先や駐車場の中、ビルの軒先などに座り込んでゲームをする人も多く見受けられました。また路上では、車の中でポケモンGOをプレイしようと違法駐車をしているようなシーンも見られました。来場するユーザーの行動が広範囲に及ぶだけに、公共ルールの啓発と徹底は今後のイベント運営の大きな課題となるでしょう。
そしてもうひとつ課題に感じたのは、特定のエリアが“ポケモン一色”に染まりすぎてしまうことの影響です。今回のイベントは、ポケモンGOユーザーにとっては同じゲームを楽しむ仲間と思う存分ゲームを楽しむことができる最高の体験となったことは間違いないでしょう。 しかし、横浜みなとみらいエリアにはポケモンGOをプレイしていない人も多数訪れます。冒頭に紹介したような“ポケモントレーナーであふれかえる街”の風景は、異様なものとして映ったのかもしれません。イベントに参加する人も、ゲームに無関心な人も同じように楽しく過ごせる街であるのが理想だとも言えるのではないでしょうか。みなとみらいのような広域エリアでイベントを開催して街全体を盛り上げるのが適切か、一方で大きな公園など狭いエリアに開催場所を絞って行うのが適切なのかは、今後議論していく必要があるのかもしれません。 200万人を集めたポケモンGO初のイベントは、バーチャルなゲームとリアルな地域を繋げる大きな可能性と、そのシナジーを最大化するために考えるべき課題を残したといえるのではないでしょうか。今後、課題を解決してどのような新しい楽しみをユーザーや地域に提供してくれるのか、期待したいところです。 (執筆:井口裕右/オフィスライトフォーワン)