ヒゲダン、ミセス、ユニゾン……『アオのハコ』『忘却バッテリー』『ブルーロック』などスポーツアニメ×バンドの相乗効果
アニメ作品と共鳴、“キーワード”が散りばめられた主題歌の数々
また、スポーツの持つ特有のスピード感や熱量と、バンドサウンドの相性の良さももちろんある。作品の在り方や根幹にあるものを提示するのに、一役買っていると言えるだろう。大ヒット作品となった映画『THE FIRST SLAM DUNK』で、The Birthday「LOVE ROCKETS」と10-FEET「第ゼロ感」はまさにその役割を果たした。作品の奥深くにある一本筋のような魂を、自身の美学とともに“ロック”という数分の爆発に込め、作品ファンと音楽ファンのどちらからも支持を得たことも記憶に新しい。 アニメやドラマ全般の主題歌全般に言えることだが、作品に関連したキーワードやキャラクターを象徴するフレーズなどが組み込まれていると、原作付きの作品の場合は既存ファンにとっては愛着が一層深まるし、オリジナルアニメやアニメを入口に作品に触れた人にとっては物語を読み解く重要なカギになることもある。ここ数年では、まさにOfficial髭男dismが、TVアニメ『SPY×FAMILY』(テレビ東京系)オープニング主題歌「ミックスナッツ」で作品の解像度の高さを楽曲に反映させ、話題となった。 彼らの新曲「Same Blue」は、執筆時点でまだ楽曲の全貌は明らかになっていないが、『アオのハコ』のPVで聴くことのできるフレーズの中にも、作品を彷彿とさせるキーワードが散りばめられているし、シンプルながら重厚でテクニックが光る音からは作品の持つ躍動感と繊細さを感じさせる。部活にフォーカスしたスポーツ作品でありながら、青春ラブストーリーの側面を併せ持つ『アオのハコ』。アニメならではの描かれ方と同時に、それを彩る音楽とのシンクロに期待したい。
草野英絵