第93回選抜高校野球 中京大中京、8強進出 打線復活 猛攻15安打 /愛知
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)第8日の27日、2回戦で常総学院(茨城)と対戦した中京大中京は、15―5で圧勝。ベスト8に進出した。打線が抑えられ、悔しさが残った初戦から一転、チーム総力を挙げ15安打と強力打線で猛攻。圧倒の試合展開で、のびのびとした自分たちの野球を取り戻した。アルプス席で見守る地元応援団は8強入りに歓喜に沸いた。中京大中京は4強入りを懸けて、大会第9日(28日予定)、準々決勝第4試合で東海大菅生(東京)と対戦する。【酒井志帆、荻野公一】 圧巻の試合運びだった。序盤から打線が爆発、一、五、七回を除いて加点し、畳みかけた。二回に先制の適時打を放ったのは、初戦でランニング本塁打で先制した櫛田理貴(3年)。大会直前にベンチ入りが決まったが、この日はスタメンに選ばれた。スタンドで見守る父義男さん(49)は「起用していただきありがたい。役割を果たせてうれしいです」と目を細めた。 回を重ねるごとに、勢いづく打線。四回、原尚輝(3年)と加藤優翔(同)の適時二塁打で一挙に5点を奪い、リードを広げると、スタンドの歓喜も最高潮に。加藤の母紀代子さん(48)は「いつも家ではダメ出しばかりしているけれど、頑張ったねと褒めてあげたい」と喜んだ。グラウンドに背を向け、応援の太鼓を支えていた野球部員の佐野圭さん(2年)は、「見えなくても応援する気持ちは一緒」と心の中で応援。 エース、畔柳亨丞(同)も、中1日で残る疲労をものともせず、八回まで1失点と抜群の安定感を見せた。「好リードで楽に投げられた」と余裕の構えで110球を投げ抜いた。八回途中からマウンドに上がった左腕の柴田青(同)は、32球を投げ被安打2、1奪三振で九回までを抑えた。手を組み祈るように見守っていた母尚美さん(46)は「甲子園のマウンドに立つのがずっと息子の夢だった」と言い、勝利が決まると思わずガッツポーズ。スタンドにそろって応援した保護者らも、総立ちで選手らの活躍を喜び合った。 ◇合同制作の千羽鶴 ○…中京大中京の応援席に赤、白、青色の千羽鶴=写真=が飾られた。スクールカラーに合わせ、チアリーディング部(42人)と吹奏楽部(44人)が、合同で制作。新型コロナウイルス感染拡大防止のため2回戦までは両部ともに甲子園での応援を控えることに。これまでは大会の度、チアリーディング部単独で準備してきたが、同部の加賀愛理部長が「思いを一つに応援の気持ちを伝えよう」と、吹奏楽部に声をかけた。両部員の「日本一を目指す選手の力に」との願いを背負い、色鮮やかな千羽鶴が選手たちの活躍を見守った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇不動の4番、重責果たす 原尚輝主将(3年) 不動の4番で主将。古豪のチームで重責を背負う。仲間が打席へ向かう前には「楽にいけよ、お前ならできる」と声をかける。昨年秋に主将に就任した頃はすでに新型コロナウイルス感染拡大により、普段の練習が制限されていた。自分の思いを仲間に伝えられないもどかしさ。どうすれば向上できるか。考えた末、距離を取りながら、あえて対面で練習後に毎日課題を出し合い、ミーティングを重ねた。互いの思いを出し合うことで、チームに一体感が増した。今や高橋監督が「チームの精神的支柱」と全幅の信頼を寄せるまでになった。 この日、2死満塁で迎えた四回の打席、外寄りの直球を狙い、左翼へ適時二塁打を放ち、追加点を奪った。「何が何でも4番として一本出す」との思いで立った打席だった。スタンドでは同校野球部OBでもある父章仁さん(48)も見守った。「きょうは楽しんでできた。狙うは優勝です」。そう語る表情からはプレッシャーをも楽しむ余裕が見えた。【酒井志帆】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽2回戦 中京大中京 012501024=15 常総学院 000010040=5