ビンラディンも愛した「驚愕鬼スペックの元祖ビジネスジェット」なぜ? こりゃ爆売れも納得だ
ビンラディンが欲しがるのも納得の「凄すぎるスペック」とは?
このビン・ラディン仕様の「セイバーライナー」は1993年から1994年にかけて中東地域やアフリカで工作員の輸送に使用されたものの、1994年にスーダンの空港で滑走路から逸脱して大破し、役目を終えています。米軍用として作られた航空機が民間機に改造されて反米活動に使用されたのは何とも皮肉ですが、「セイバーライナー」が高いスペックを持つ成功機だったことを示すエピソードともいえるでしょう。 前述したように「セイバーライナー」の主翼は、F-86「セイバー」戦闘機と似ていましたが、双方とも同じ様に前縁には自動スラット、後縁にはフラップという装置が付いており、低速時にこのふたつの装置で翼の面積を広げ揚力を確保します。ただ、2機が似ているのは形状だけではありません。 「セイバーライナー」は戦闘機ライクな設計となったこともあってか、ビジネスジェットでは唯一、アクロバット飛行が認められている機種です。この機では、機体に掛かる加速度を3Gの制限値に収めることを条件に、完全な失速や背面飛行が可能です。 なお、こうした特性を活かしてカリフォルニア州モハーベ空港にあるナショナル・テストパイロット・スクールでは、この機種を教材として運用しています。 ちなみに、ビジネスジェットとしては大成功といえるモデルとなった「セイバーライナー」を生み出したノースアメリカンは、ロックウェルとなりB-1戦略爆撃機を生み出したものの、航空機部門がボーイングに吸収されています。
細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)