「大阪が好っきゃねん」 ── スイス出身のグリコ広報「べっちゃん」奮闘中
江崎グリコグループ広報部の「べっちゃん」ことガッサー・ベッティーナ・ビアンカさん。インタビュー中も流ちょうな大阪弁が THE PAGE大阪
昨秋、大阪・道頓堀の江崎グリコ(本社・大阪市)6代目看板披露の際、現場でマスコミ対応などを行う外国人の広報担当女性がいた。話しかけてみると「わたし、大阪好っきゃねん」と流ちょうな大阪弁で返してきたのでビックリ。彼女はガッサー・ベッティーナ・ビアンカさんというスイス・チューリッヒ州出身の26歳で愛称は「べっちゃん」。同社グループ広報部で情報発信やメディア対応の仕事に奮闘中だという。しかし、彼女はなぜ故郷から遠く離れた日本で、この大阪でこうした仕事に就いているのだろうか。
きっかけは「美少女戦士セーラームーン」!?
初めて日本に来たのは17歳の誕生日。その来日のきっかけは、あるアニメを見たことだった。「『月に代わっておしおきよ』が決め台詞の『美少女戦士セーラームーン』を見て、すごく日本に興味を持ったんです」 東京で10日間のホームステイを体験したが、おしゃれなレストランやコンビニエンスストアにカラオケなど、地元にはないものばかりを目の当たりにして圧倒された。だが同時に、この日数では把握し切れなかったという思いも生まれた。以来、日本への興味は大きくふくらんだ。 自身が通っていたスイスの高校には様々な国への留学制度があり、もちろん日本への留学を希望。だが、アニメなどの影響もあってかそのプログラムは早いうちに定員に達していた。「『もうダメ』と言われた時はショックで、肩を落としていたんです」だが、そこでミラクルが。たまたま校内で見かけた掲示板に「大阪の高校への留学募集」のポスターが張っているのを見つけた。 これを見つけた瞬間「だれにも行かせない」とそのポスターをはがし、すぐに申し込んだ。なんと親にも事後報告という形での申し込みだったんだという。通常は学校のプログラムを使っていくものの、これはそれ以外のもの。自分で必死の調整も行ったという。そして3か月後にようやく大阪市内の私立高校への留学が実現した。
高校留学時は風呂なしアパートでの生活
留学期間は5か月。18歳だったが制度上の都合で高校2年生のクラスへ編入、住居は大阪市天王寺区内の風呂なし、共同トイレの古いアパートだった。 「日本語でしか生活できない環境。けど、それが今となってはすごく良かったと思えます」。だが学校帰りに、天王寺駅そばの歩道橋から、通天閣などが見える景色や路上ライブをぼ~っと眺めたりしたことは、なんとなく気晴らしにもなったという。 後にスイスへ帰国するも「日本語能力に満足いかない」「まだ日本でやり残したことがいっぱいある」と考えると同時に「国境に関係なく、国際的な環境に身をおきたい」と考え、日本をはじめとした大学を受験。そして、結果的には日本の大学の新聞学科を選んだ。 勉強しながら生活費を稼ぐためのバイト三昧。ラーメン店、イスラエル料理店、料亭から居酒屋など様々なことにチャレンジした。2年生からはテレビメディアを専攻し、撮影から編集までの技術を学んだ。「せっかくそういうことを学んだのでテレビ局を受けたり、あと海外にも支社がある企業を受けたりしてみました」