LVMHのアルノー会長、競合リシュモンの少数株主に 一族の投資会社を通じて
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、一族の投資会社が、競合であるコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の少数株式を取得したことを認めた。投資額などの詳細は明らかにしていない。 【画像】LVMHのアルノー会長、競合リシュモンの少数株主に 一族の投資会社を通じて
本件について、米「ブルームバーグ(BLOOMBERG)」が6月に報じた際、アルノー会長兼CEOの代理人はコメントを差し控えるとしていた。しかし、米国の経済ニュース専門局CNBCのトーク番組に出演したアルノー会長兼CEOは、本件について聞かれ、「リシュモンのヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長のことはよく知っており、良好な関係を築いている。彼に不利なことをするつもりはないと伝えてある」とし、「(一族の投資会社の)幅広いポートフォリオの一部として、ごく少数の株式を取得したに過ぎない。それで満足している」と語った。
LVMHは「カルティエ」を狙っている?
LVMHが、リシュモンやその傘下ブランドである「カルティエ(CARTIER)」の買収に関心があるのではないかという臆測は、これまでに何度も流れている。2020年12月に、LVMHが「ティファニー(TIFFANY & CO.)」を総額158億ドル(約2兆3068億円)で買収したことも、こうしたうわさに拍車をかけている要因の一つだろう。
しかし、ルパート会長は23年5月に行ったリシュモンの決算説明会で、「リシュモンや『カルティエ』を売るつもりはない」と一蹴し、アルノー会長兼CEOからアプローチを受けたこともないと明言。また、アルノー会長兼CEOも、24年1月に開催したLVMHの決算説明会で、「ルパート会長は比類のないリーダーであり、その戦略に干渉しようとは思わない。彼は、今後も独立性を維持したいと考えているものと理解している」と述べており、今回のトーク番組でも同様の発言をしている。