京都競馬場の1大イベント、菊花賞の裏側でドコモが実施するトラヒック対策
トラヒックの増大には、SNS利用の増加のように競馬に限った話ではないものもありますし、コロナ禍で減っていた人流が回復傾向にあるという側面もありますが、競馬ならではの要因もあります。 それは、競馬を楽しむにあたってのスマホを使う場面が大きく増えたことです。まず、投票については、窓口で馬券(勝馬投票券)を購入するのではなく、競馬場に行ってはいても自身のスマホから投票するという人が増えました。また、投票にあたっての情報を入手するにも、かつてのように競馬新聞を買うのではなく、スマホでWebサイトを観たり、JRAや各種メディア、競馬YouTuberなどによる動画配信を観たりというのが中心となっています。
こういった投票や予想という行為が競馬を楽しむに当たって必須であるというのがひとつの難しいところです。花火大会や通常のスポーツ観戦、音楽フェスであれば、仮に通信障害があったところで、打ち上げられる花火を鑑賞したり、ひいきのチームを応援したり、ライブを楽しんだりするのに大きな支障はありません。SNS投稿も、あとで通信が回復してから投稿するということができるでしょう。 しかし競馬の場合、投票や予想というのがその楽しみの本質につながっています。とくに投票についてはお金がからむことだけに反応もシビア。「通信障害のせいで買おうと思っていた馬券が買えなかった、おかげで何万円も儲けそこななった」なんてことがあったらと考えると、ドコモが余裕をもってトラヒック対策を行おうとするのも当然と思えます。 ■今夏のイベント対策ではMassive MIMO Unitを積極活用 前置きが長くなりましたが、今回の菊花賞に際してのネットワークトラヒック対策は、なにも特別なものではありません。今回、対策の内容を説明してくれたNTTドコモ関西支社 ネットワーク部 ネットワーク計画 移動無線計画担当 担当課長の片岡広さんによれば、ドコモ関西支社ではこの夏、21の大規模イベントで臨時局の出動などのトラヒック対策を実施しているそうです。たとえば淀川花火のような花火大会、天神まつりのようなお祭り、サマーソニックのような音楽フェスなど。イベントの性質にもよりますが、花火大会であれば10万人くらいの人出を目安としているとのこと。 集客イベントにおけるトラヒック対策は年々強化されており、今年は全イベントで5G対応。移動基地局車は、キャパシティの大きいMMU(Massive MIMO Unit)を搭載した車両を1台用意し、MMUを搭載しない7台と合わせて計8台の体制としました。4Gについても、4Gの小セル化によりトラヒックを分散するマルチビームアンテナによる大容量化を行っているそうです。さらに花火大会など、スペースの制約がある場面にそなえ、可搬型のコンテナ5G基地局も5セット用意。これらをイベントにあわせて活用しています。